広報活動

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2016年11月2日

理化学研究所
東北大学
首都大学東京

SWEETタンパク質は植物ホルモン「ジベレリン」を輸送

-受容体センサーを利用した網羅的探索により発見-

シロイヌナズナの野生型およびSWEET13、SWEET14を同時に欠損した二重変異体の生育の図

シロイヌナズナの野生型およびSWEET13、SWEET14を同時に欠損した二重変異体の生育

植物ホルモンとは、植物の特定の部位で合成され、植物の成長や反応を調節する低分子化合物です。1880年のダーウィンの光屈性の実験に端を発したオーキシンが、1926年に同定されました。以降、現在までに全部で約9種類の植物ホルモンが知られています。

植物ホルモンであるジベレリンは、非常に低い濃度で、植物発芽、伸長成長、花芽形成・開花などの生理過程を促進します。農業の現場では、種なしブドウの生産の際に、種子のない果実を実らせるための農薬として使われています。また、ジベレリン生合性阻害剤は植物の成長を抑制し、草丈を低くする薬剤として、観賞用の菊や盆栽の栽培に利用されています。

これまでに、ジベレリンの代謝や情報伝達に関与する多くの因子が同定されています。しかし、植物体内でジベレリンがどのように輸送されているのかについては多くが謎でした。DELLAタンパク質は、ジベレリン受容体GID1と結合しない状態ではジベレリン応答を抑制しますが、ジベレリン濃度が上昇しジベレリン依存的にGID1と結合することにより分解され、ジベレリン応答が引き起こされます。これらのジベレリン依存的な結合は、酵母tow-hybrid系を用いて検出することが可能です。

今回、共同研究グループは、低濃度のジベレリン存在下でGID1とDELLAの結合を促進するシロイヌナズナ由来タンパク質を網羅的に探索した結果、SWEET13、SWEET14というタンパク質が、ジベレリンを細胞内へ取り込む輸送体であることを発見しました。SWEETタンパク質は、糖の輸送体としてバクテリアから高等植物まで広く存在していますが、糖以外の化合物を輸送することが明らかになったのは初めてです。また、SWEET13、SWEET14を同時に欠損したシロイヌナズナの二重変異体を作製し野生型と生育を比較したところ、野生型と比較して二重変異体は種子や芽生えが大きく、根も長くなるなどの違いが見られました(図参照)。

今後、輸送体の働きを利用することで、例えば、植物体内におけるジベレリンの分布を変化させ、植物の生長、種子発芽、開花などを制御するといった、作物の収量増大につながる新たな技術の開発が可能になると考えられます。

理化学研究所
環境資源科学研究センター 適応制御研究ユニット
ユニットリーダー 瀬尾 光範 (せお みつのり)
テクニカルスタッフⅡ 菅野 裕理 (かんの ゆり)