広報活動

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2017年2月8日

理化学研究所
東京大学大学院理学系研究科

惑星系円盤誕生における角運動量問題解決の糸口

-アルマ望遠鏡で直接観測-

観測によって明らかになった惑星系円盤形成の様子(模式図)

図 観測によって明らかになった惑星系円盤形成の様子(模式図)

「アルマ望遠鏡(ALMA)」は、観測に適した南米チリ北部にある標高約5,000mの高原に建設され、2013年より運用が始まった電波望遠鏡です。パラボラアンテナ66台を組み合わせる干渉計方式で、移動可能なアンテナの間隔を広げることにより、最大直径16kmの望遠鏡に相当する空間分解能を得ることができます。その能力は、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の約10倍という世界最高水準を誇ります。

星(恒星)と惑星系は、主に水素分子からなる星間ガスと塵からなる分子雲が、自らの重力で収縮することにより誕生します。その際、生まれたばかりの原始星の周りを回転しながら原始星へ落下するガスが原始星からある半径に達すると、原始星の重力よりも回転による遠心力が大きくなります。そのため、ガスの角運動量(回転の勢いを表す量)の一部が外部に放出されなければ、惑星系の元となる「原始惑星系円盤」が形成されません。この角運動量放出のメカニズムの問題を「惑星系円盤誕生における角運動量問題」と呼び、惑星系円盤形成研究における最大の謎といわれています。これまで理論的にコンピュータシミュレーションなどで研究されてきましたが、実際に星が誕生する現場を詳しく観測することが求められていました。

今回、理研を中心とする国際共同研究チームはアルマ望遠鏡を用いて、地球から450光年離れた位置にあるおうし座のL1527分子雲を観測し、中心にある「太陽型原始星」の周りで起こる円盤形成の様子を調べました。ここで、太陽型原始星とは将来、太陽と同程度の質量の星に進化する原始星を指します。観測の結果、ガスに含まれる炭素鎖分子の一種「CCH分子」の分布から、円盤の端で中心にある原始星方向へ落下するガスが滞留・衝突し、円盤と垂直方向に膨れ出していることを発見しました(図参照)。垂直方向へ流れ出したガスが、衝突による「衝撃波」で回転のエネルギーを消費するとともに、角運動量を放出する役割を担っていると考えられます。

本研究では、これまでほとんど観測されなかった円盤の“垂直方向の構造”に着目しその構造を明らかにしたことで、角運動量問題解決への糸口を見つけました。今後、同じような現象が他の円盤形成領域でも確認できれば、角運動量問題の完全解決へつながると期待できます。

理化学研究所
准主任研究員研究室 坂井星・惑星形成研究室
准主任研究員 坂井 南美 (さかい なみ)