広報活動

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2017年5月2日

理化学研究所

寄生植物は植物ホルモンを使い宿主を太らせる

-植物間のサイトカイニン輸送を発見-

寄生過程のモデル図

図 寄生過程のモデル

植物は一般的に、太陽光を浴びて光合成をすることで成長に必要な栄養を作り出しますが、そうではない植物もいます。それは、ほかの植物に寄生し栄養を奪い取って生きる寄生植物です。なかでも、ハマウツボ科の根寄生植物は穀物となる植物に寄生するため、アフリカや地中海沿岸を中心に甚大な農業被害をもたらしています。そのため、寄生植物がどのように宿主植物の生理機能や成長を制御しているかを理解することが、被害対策を立てる上で重要な課題となります。

根寄生植物は根に「吸器」と呼ばれる侵入器官を形成し、宿主植物の根に侵入します。そして、栄養の通り道である「維管束」とつながることで宿主植物から栄養を奪い取ります。また、栄養が宿主植物から寄生植物へと移動すると同時に、タンパク質やRNAなどの物質が寄生植物から宿主植物へと移動することが知られていました。しかし、その仕組みや物質の役割はよく分かっていませんでした。

今回、理研を中心とする国際共同研究グループは、寄生された宿主植物の維管束組織が肥大し太くなることに着目しました。維管束組織の成長は、植物ホルモンの「サイトカイニン」によって促進されます。そこで、根寄生植物のコシオガマと宿主植物としてシロイヌナズナを用い、サイトカイニン応答について研究を進めました。その結果、①寄生植物の根の吸器で生合成されたサイトカイニンが組織のつながりを通して宿主植物の根へと運ばれ、宿主植物のサイトカイニン受容体を介してサイトカイニン応答を誘導し、その結果宿主植物の維管束組織の肥大が引き起こされること(図参照)、②寄生植物にとって維管束組織を肥大させることが栄養を奪い取る効率を高めていることが分かりました。

本成果は、寄生植物から宿主植物へと移動する生物活性物質の役割を明らかにした初めての研究であり、今後、類似の物質の作用と役割を調べる際の重要な基礎的知見となります。

理化学研究所
環境資源科学研究センター 植物免疫研究グループ
国際特別研究員 トーマス・スパレック(Thomas Spallek)
特別研究員 若竹 崇雅(わかたけ たかのり)
グループディレクター 白須 賢(しらす けん)