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2017年7月21日

理化学研究所

新元素探索へ向けて気体充填型反跳分離器GARIS-Ⅱが本格始動

-112番元素コペルニシウム合成の検証に成功-

原子番号104のラザホージウム(Rf)以降の非常に重い元素は「超重元素」と呼ばれ、重イオン加速器を利用した融合反応で人工的に合成する事で発見がなされました。新しい超重元素の発見は、原子核が一体どこまで存在するかという“原子核の存在限界”に答える大きな研究テーマです。2016年、原子番号118のオガネソン(Og)までの全ての元素名が確定し、“新元素探索”の最前線は元素周期表の第8周期の原子番号119、120へと突入しています。

これまで理研を中心とする研究グループは、「冷たい融合反応」により原子番号108のハッシウム(Hs)から113のニホニウム(Nh)までの超重核の合成に成功しました。その後、Nhを超える新元素合成に向けて「熱い融合反応」により、104のRfから107のボーリウム(Bh)までと116のリバモリウム(Lv)の超重核の合成にも成功しています。これらの成果は全て、1980年代に理研で開発された気体充填型反跳分離器「GARIS」を用いて得られました。GARISは、合成した目的の原子核を入射ビームや副反応生成物から、高い分離・収集能力で分離・収集する装置で、ヘリウムガスを充填しています。

理研では、今後の新元素探索で必須となる熱い融合反応に特化した「GARIS-Ⅱ」を新たに開発しました。本研究では、理研重イオン線形加速器「RILAC(ライラック)」から供給された大強度48Caビームと238U標的との熱い融合反応により、原子番号112のコペルニシウム同位体283Cnの合成に成功しました(図参照)。

本研究では、ロシア・米国、ドイツによる二つの先行研究で確認されている283Cnの合成を検証することで、GARIS-Ⅱの性能評価を行いました。その結果、GARIS-Ⅱの高い分離・収集能力が実証され、熱い融合反応研究において先行するロシア・米国の共同研究グループに対して、共同研究グループが“十分な競争力を持つこと”を示しました。

GARIS-Ⅱを用いた112番元素コペルニシウム合成実験の概要図

図 GARIS-Ⅱを用いた112番元素コペルニシウム合成実験の概要

理化学研究所
仁科加速器研究センター 超重元素研究グループ 超重元素分析装置開発チーム
仁科センター研究員 加治 大哉 (かじ だいや)
チームリーダー 森本 幸司 (もりもと こうじ)

仁科加速器研究センター 超重元素研究グループ
グループディレクター 森田 浩介 (もりた こうすけ)