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2017年8月11日

理化学研究所

細胞記憶の理解に新たな糸口

-DNAメチル化パターンの継承メカニズムに迫る-

生物の遺伝情報はゲノムDNAに記されており、どの細胞でも基本的には同一です。DNAのメチル化などの調節機構(エピジェネティクス)によって、それぞれの細胞に固有の遺伝子発現パターンをもたらすことができます。遺伝子発現パターンの違いが、細胞の見た目や機能といった“その細胞らしさ”を決定していると考えられています。

また、DNAメチル化パターンは、細胞が分裂しても親細胞から娘細胞へと正確に受け継がれていくため、細胞固有の性質を記録している「細胞記憶」の一つと考えられています。このようなDNAのメチル化パターンの継承には、UHRF1というタンパク質が必須であることが知られています。しかし、どのようにUHRF1がDNAの複製の場にやってくるのかはよく分かっていませんでした。

今回、理研を中心とした国際共同研究グループが詳しく調べたところ、UHRF1は、メチル化酵素複合体であるG9a/GLPによってヒストン様配列がメチル化されたDNAリガーゼ1(LIG1)と複合体を形成し、LIG1を介してDNA複製の場にやってきて、DNAメチル化パターンの複製を引き起こすことが分かりました(図参照)。このメカニズムにより、細胞は効率よくDNAの複製時にDNAメチル化パターンの継承を行っていると考えられます。

本成果は、細胞がいかにして“その細胞らしさ”を維持しているのか、細胞記憶を理解する上での新たな糸口になると期待できます。

DNAメチル化パターンの継承メカニズムの図

図 DNAメチル化パターンの継承メカニズム

理化学研究所
主任研究員研究室 眞貝細胞記憶研究室
主任研究員 眞貝 洋一 (しんかい よういち)
大学院リサーチ・アソシエイト 津坂 剛史 (つさか たけし)