広報活動

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2017年8月22日

理化学研究所
ハリー・パーキンス医療研究所

マイクロRNAをより詳細にカタログ化

-発現パターンも網羅した地図で疾患に関わるmiRNA研究を加速-

バクテリアからヒトを含む全ての生物は、生命の連続性を維持し細胞機能を発揮するための基盤としてDNA、RNA、タンパク質という鎖状の重合体を用いています。生物学の歴史を紐解くと、20世紀前半にまずDNA(遺伝子)とタンパク質(酵素)の対応関係が示されました(一遺伝子一酵素仮説など)。その後、DNAとタンパク質を仲介するRNAの役割が明らかになり、タンパク質合成装置であるリボソームを構成するrRNA(リボソームRNA)、DNAの一部として存在する遺伝子配列をリボゾームへと伝えるmRNA(伝令RNA)、mRNAに写し取られた遺伝暗号をタンパク質配列へと解読するtRNA(運搬RNA)などが発見されました。

しかし近年、これらのどれにもあてはまらないRNAが数多く存在することが明らかにされ、注目を集めています。遺伝子の情報(タンパク質をコードする配列)を持たないことから、ノンコーディングRNA(ncRNA)と呼ばれていますが、長さとしてはmRNAよりも長いものからマイクロRNA(miRNA)のように非常に短いものまで多岐にわたります。個々のncRNAが果たす役割も多種多様であり、理研が主催する国際研究コンソーシアム「FANTOM」をはじめ世界中の研究者が、その機能解明に取り組んでいます。

miRNAは長さが21~23塩基と短く、mRNAと結合して遺伝子の活性を抑制する機能を果たします。ncRNAの中では比較的早くから研究が進み、長い前駆体RNAから切り出されて産生される過程や、標的となるmRNAとの結合により遺伝子活性を抑制する仕組みなどが詳しく調べられています。がんなどの疾患に関わる遺伝子の多くがmiRNAの標的とされており、基礎研究のみならず医学研究においても注目されています。今回、理研を中心とした国際共同研究グループは、さまざまなヒト細胞で発現するmiRNAを網羅的に記載したアトラス(地図)を作成しました。その特徴として、①miRNAのみならず前駆体RNAに関するデータも採録していること、②網羅的解析の対象として初めて採り上げられた細胞も含まれていること、③既知のmiRNAだけでなく新たなmiRNA候補も対象としていることなどがあり、世界中の研究者がアクセスできるデータベースとして公開されます。

今回作成されたmiRNAの網羅的アトラスは、今後のmiRNA研究の基盤として、個々の役割の解明や疾患との関連解析を加速させるものと期待できます。

ヒト初代培養細胞で発現するmiRNAの図

図 発現パターンの類似度をもとにmiRNA同士の関係をネットワークとして描画した

理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 LSA要素技術研究グループ ゲノム情報解析チーム
実習生(研究当時) デレック・デ・リー (Derek de Rie)

ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 LSA要素技術研究グループ ゲノムデータ解析アルゴリズム開発ユニット
ユニットリーダー ミヒル・デ・ホーン (Michiel J. L. de Hoon)

ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 LSA要素技術研究グループ トランスクリプトーム研究チーム
チームリーダー ピエロ・カルニンチ (Piero Carninci)

予防医療・診断技術開発プログラム
プログラムディレクター 林崎 良英 (はやしざき よしひで)