広報活動

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2017年10月19日

理化学研究所
科学技術振興機構

DNA分子バーコード法の新機能

-核酸分子1万個以上のデジタル計数を実現し、試料混在も解決-

増幅前のバーコード付きDNAの分子数と開発した手法で測定した分子数の関係図

図 増幅前のバーコード付きDNAの分子数と開発した手法で測定した分子数の関係

次世代シークエンサーは一度にたくさんの核酸(DNAやRNA)の配列を決定しますが、例えば、同時に遺伝子発現量の指標となる細胞内のRNAの数を数えることもできます。その次世代シークエンサーを利用して理研の研究チームは2012年に、「DNA分子バーコード法」を開発しました。

この方法では、それぞれ異なる配列を持つ短いDNA分子(DNA分子バーコード、8~20塩基配列程度)を、目的の核酸分子の一つ一つに付加することで、核酸分子の数を数えることが可能です。以来、網羅的遺伝子発現量の解析などに応用され、多くの研究者や企業のサービスで利用されています。しかし、次世代シークエンサーの配列決定でのエラーなどが原因で、正確に数えられる核酸分子は100個程度までという限界がありました。

今回、理研を中心とした共同研究チームは、独自にDNA分子バーコードを設計して配列決定時などのエラーを検出したり、DNAバーコードの長さをコンピュータ上で変えるなどして計数の精度を確かめることにより、実験と配列情報解析法を組み合わせて、1万個以上の核酸分子を正確にデジタル計数できる手法を開発しました(図参照)。また、次世代シークエンサーの容量(107~1010個、1,000万~100億個)を大きく超える、1015個(1,000兆個)の核酸分子を計数できる可能性も示しました。さらにこの方法により、懸案だった複数の試料由来の結果が混ざる問題も解決しました。

従来のDNA分子バーコード法は、がん細胞、細菌叢、ウイルスの計数、リキッドバイオプシーなどへの応用研究が進んでいます。本研究で開発したDNA分子バーコード法を利用することで、より高精度の解析の実現が期待できます。

理化学研究所
生命システム研究センター 細胞動態計測コア 細胞動態計測研究グループ オミックス動態研究ユニット
ユニットリーダー 城口 克之 (しろぐち かつゆき)