広報活動

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2017年11月3日

理化学研究所

脳の基本単位回路を発見

-単純な回路が繰り返した格子構造が存在-

ヒトの大脳は、100億以上の神経細胞からなる極めて複雑な組織です。厚さ1~2mmのシート状をしている大脳皮質はさまざまな領野に分かれており、それぞれ感覚処理、運動制御、言語、思考など異なる働きをつかさどっています。

大脳の神経回路の構造については100年以上にわたって研究されてきましたが、その複雑さから不明な点が多く、脳機能の理解の大きな妨げになっています。なかでも、単一の回路が繰り返した構造が存在するか否かは明らかになっていませんでした。

今回、理研の研究チームは、マウス脳を丸ごと3次元解析する理研で新しく開発された三つの技術を用いて、大脳皮質に6層ある細胞層のうちの第5層を詳しく調べました。その結果、大部分の神経細胞が細胞十個程度の微小なカラム(「マイクロカラム」)を形成して(図A)、六方格子状に配置し、ハニカム状(蜂の巣状)の回路を形成していることを見出しました(図B,C)。また、①マイクロカラムは視覚野、運動野、言語野などで発見され、大脳皮質の普遍的な構造であること、②同じマイクロカラム内の細胞は関連した情報を処理していることが分かりました。以上のことから、マイクロカラムは第5層の基本的な機能単位であり、これが多数繰り返した回路による並列処理が感覚、運動、言語などの幅広い大脳機能を担うことが示されました。

今後、単一のマイクロカラムの機能を明らかにすることにより、脳機能の理解が大きく進むものと期待できます。

マウス大脳皮質のマイクロカラムの格子配列の図

図 マウス大脳皮質のマイクロカラムの格子配列

理化学研究所
脳科学総合研究センター 局所神経回路研究チーム
チームリーダー 細谷 俊彦 (ほそや としひこ)
研究員 丸岡 久人 (まるおか ひさと)