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2017年11月6日

理化学研究所

新同位元素ルビジウム-72を発見

-原子核地図における“天橋立”構造-

本研究の対象核付近の核図表

図 本研究の対象核付近の核図表

原子核の性質は陽子数と中性子数の組み合わせで決まり、縦軸に陽子数、横軸に中性子数をとった原子核地図を「核図表」と呼びます(図参照)。

原子核は対相関という機構により、陽子数または中性子数が偶数のときに安定性が増すため、陽子をこれ以上原子核に取り込めない境界のラインは、陽子数が偶数の核では出っ張り、奇数の核では引っ込むようなギザギザした形をしています。そのラインの内側を緑色の陸地で、外側を青色の海で表現すると、例えば陽子数が37のルビジウム(Rb)同位体では、38のストロンチウム(Sr)同位体と36のクリプトン(Kr)同位体が作る“岬”に挟まれた“入江”になります。

今回、理研を中心とした国際共同研究グループは、重イオン加速器施設「RIビームファクトリー」を用いて、中性子よりも陽子が多い新同位元素の72Rbとジルコニウム-77(77Zr)を発見しました(図の赤い四角)。72Rbは核図表においてRb同位体の“入江”の入口に位置し、あたかも“天橋立”のような構造を作ることが分かりました。このような同位元素は、これまで発見されたことがありません。72Rbは陽子数も中性子数も奇数のため“天橋立”の現れる機構は対相関では説明できず、新しい核構造効果が関与していると考えられます。

また、73Rbは(図の黒点線の四角)は今回観測されず、核図表であたかも“入江”の奥にある“ラグーン”のような構造を作ることになりました。これは、宇宙における元素合成の高速陽子捕獲過程(rp過程)に一つの答えを出したといえます。rp過程の研究では、途中の72Krが元素合成の進みにくくなる滞留点であるかどうかが争点でしたが、73Rbが観測されなかったことから、72Krが強い滞留点であることが分かりました。

理化学研究所
仁科加速器研究センター 実験装置運転・維持管理室
協力研究員 鈴木 宏 (すずき ひろし)

仁科加速器研究センター 櫻井RI物理研究室
先任研究員 西村 俊二 (にしむら しゅんじ)
主任研究員 櫻井 博儀 (さくらい ひろよし)