広報活動

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2017年12月22日

理化学研究所

73種の新同位元素を発見

-未踏の原子核世界の開拓が加速-

私たちの体や身の回りの物質を構成している元素は宇宙で作られました。現在、鉄よりも重い元素(重元素)は、中性子星合体のような特殊な環境下で、原子核が連続的に「中性子を吸収する反応」と吸収された中性子が陽子と電子に変わる「β崩壊」との競合が起こり、その果てに不安定な放射性同位元素(RI)を経由して合成されたと考えられています。

この重元素合成の謎を解明するには、それらRIのさまざまな性質を調べることが必要です。これまで、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」に設置された超伝導RIビーム分離生成装置(BigRIPS)を用いた研究では、2007年に初めて新しいRIを発見して以降、59種の新RIの発見が論文発表されています。

理研を中心とした国際共同研究グループは、ビーム強度が以前の約10倍に増強されたことから、2011年~2013年に再び新RIの発見に挑みました。実験では、ウラン-238およびキセノン-124ビームを、超伝導リングサイクロトロンで光速の70%まで加速後、標的のベリリウムに衝突させて引き起こされる反応を利用してRIを生成し、BigRIPSで収集・分析し、同定しました。その結果、原子番号25のマンガンから68のエルビウムまで、73種の新RIを発見することに成功しました。これで累計132種の新RIの発見が確定しましたが、その後さらに約62種の新RIの生成を確認しており、現在最終確認に向けた解析を行っています。それが終了すると、総計約194種の新RIの発見が論文発表される見込みです。これ含めると、RIBFでの2010年以降の発見数は米国・英国・ロシア・ドイツを抑え、大きく加速することになります(図参照)。

今後、加速器系やBigRIPSの性能向上を通じて、RIBF加速器施設ではさらなる新RIの発見が期待できます。

1910年以降、各国の研究所・大学から発見された新RIの図

図 1910年以降、各国の研究所・大学から発見された新RI

理化学研究所
仁科加速器研究センター 実験装置運転・維持管理室 RIビーム分離生成装置チーム
仁科センター研究員 福田 直樹 (ふくだ なおき)
チームリーダー 吉田 光一 (よしだ こういち)