広報活動

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2018年1月9日

理化学研究所
日本医療研究開発機構
順天堂大学
青山学院大学

ロイコトリエンB4受容体の構造

-GPCRに対する逆作動薬探索の効率化に向けて-

2012年のノーベル化学賞は、「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)」の研究を行った米国の2氏に授与されました。GPCRは細胞表面に発現して、細胞外シグナルを細部内に伝達する役割を担う膜タンパク質です。

光、核酸、ペプチド、低分子化合物、タンパク質と多岐にわたる細胞外シグナルに対して、個別のGPCRが存在し、ヒトでは約800種に上るといわれています。このGPCRの多くは創薬ターゲットとして注目されています。GPCRに対して、作動、逆作動、拮抗させる機能を有する有効な薬を開発することで、様々な病気の治療に繋がる期待があるからです。GPCRには、様々な状態があり、その一つである不活性化状態のGPCRの立体構造は、膜貫通ヘリックス内部のGPCR間で保存されたアミノ酸と相互作用する「ナトリウムイオン‐水クラスター」により安定化されています。同クラスター結合部位に結合し、同クラスターの作用を模倣してGPCRの活性抑制能を持つ官能基と、作動薬結合部位に結合して各GPCRへの特異的結合を担う部分を持つ化合物は、不活性状態GPCRの立体構造を安定化する「逆作動薬」になると考えられてきました。しかし、同クラスターの作用を模倣する官能基はこれまで同定されていませんでした。

今回、理研を中心とした共同研究グループは、GPCRの一つであるロイコトリエンB4受容体(BLT1)とその拮抗薬であるBIIL260の複合体を結晶化し、構造を調べました。その結果、BIIL260の「ベンズアミジン基」は、ナトリウムイオン‐水クラスターを模倣した相互作用を形成して、不活性化状態のBLT1を安定化することが分かりました。そのため、各GPCRの逆作動薬としてベンズアミジン基を含む化合物が設計できる可能性があります(図参照)。

本成果は、今後、逆作動薬の探索・設計の効率化への貢献が期待できます。

GPCRの逆作動薬の設計、効率的探索にむけての図

図 GPCRの逆作動薬の設計、効率的探索にむけて

理化学研究所
上席研究員研究室 横山構造生物学研究室
上席研究員 横山 茂之 (よこやま しげゆき)
専任研究員 堀 哲哉 (ほり てつや)