広報活動

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2018年2月19日

理化学研究所
日本医療研究開発機構
東北大学

開放隅角緑内障に関わる新たな7遺伝子領域を同定

-1万5,000人の緑内障患者のゲノム解析から病因の解明へ-

日本人開放隅角緑内障患者の遺伝解析結果の図

図 日本人開放隅角緑内障患者の遺伝解析結果

赤色で示した7遺伝子領域が新たに発見された

緑内障は視神経が障害を受けることで、視野が狭くなる眼疾患で、日本人の失明原因の第一位となっています。日本人40歳以上の緑内障の有病率は5.0%であり、その主な病型は「開放隅角(ぐうかく)緑内障」です。開放隅角緑内障は、環境要因と遺伝要因が合わさって発症する多因子疾患ですが、患者の遺伝要因の大部分は解明されていませんでした。

今回、理研を中心とする共同研究グループは、バイオバンク・ジャパンで収集された日本人の開放隅角緑内障患者と対照群を対象に、ヒトゲノム全体に分布する約600万個の一塩基多型(SNP)のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。GWASは、疾患などに影響のあるゲノム上のマーカーを網羅的に検索する方法です。さらに、開放隅角緑内障と強い関連が認められたSNPについて、東北大を中心に収集された独立した二つの日本人集団で再現性を検証しました。その結果、新たに7カ所の遺伝子領域が発症に影響することが分かりました(図参照)。

また、これらの遺伝子領域について、他の人種における発症リスクへの影響を検証したところ、ニつのSNPがアジア系人種で、四つのSNPがヨーロッパ系人種でも発症に寄与していると考えられました。これらは、1万5,000人以上の患者のサンプルを用いた世界最大の大規模ゲノム解析の成果となりました。さらに解析を進め、細胞の増殖や遊走などに関わる「上皮成長因子受容体シグナル」に関する遺伝子群が発症に影響していること、生まれつき開放隅角緑内障になりやすい人は「2型糖尿病」や「心血管病」になりやすいことを明らかにしました。

本成果は、今後、緑内障病因の解明や治療法の開発や予防医学研究に貢献すると期待できます。

理化学研究所
統合生命医科学研究センター
副センター長 久保 充明 (くぼ みちあき) 

統合生命医科学研究センター 統計解析研究チーム
リサーチアソシエイト 秋山 雅人 (あきやま まさと)
研修生 志賀 由己浩 (しが ゆきひろ)