広報活動

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2018年3月2日

理化学研究所
実験動物中央研究所
大日本住友製薬
日本医療研究開発機構

ヒトES細胞由来網膜の移植後機能を確認

-重度免疫不全末期網膜変性マウスを作製し移植後光反応を検証-

網膜色素変性は遺伝的原因により、網膜周辺の視細胞が変性・消退していく疾患で、徐々に視覚が失われていきます。光を感じない末期の場合は、現在のところ有効な治療法はありません。

ヒトのES細胞やiPS細胞から網膜細胞が効率よく分化誘導されるようになり、その臨床応用が期待されています。理研の研究チームはこれまでに、①マウスのES細胞/iPS細胞由来の網膜組織を末期のマウス網膜変性モデルに移植し光が分かるまで改善させること、②ヒトES細胞由来の網膜組織をラットやサルの視細胞変性モデルに移植し形態的に成熟させること、に成功しています。しかし臨床応用にあたって、ヒトのES細胞の移植片が光に応答するかどうかの検証が残っていました。

今回、理研を中心とした共同研究グループはまず、拒絶反応を全く示さない重度免疫不全マウスの末期網膜変性モデルの作製に成功し、移植後の機能検証を可能としました。そして、ヒトES細胞由来の網膜組織をこのマウスに移植したところ、半年後には成熟した視細胞の生着、高感度で光を捉える外節構造の形成、視細胞が光を感じるために必要な視物質(オプシンやロドプシン)の存在を確認できました(図参照)。さらに、移植先の網膜を摘出し多電極アレイシステムを用いて調べたところ、光に対する反応を確認することができました。

本成果は、ヒトES細胞から分化誘導した網膜組織が臨床応用に使える可能性を示しています。今後はヒトiPS細胞、臨床で実際に用いる細胞や分化方法などで同様の追試と安全性試験を行った上で、ヒトに移植し機能・効果を確認していくことになります。

重度免疫不全末期網膜変性マウスに移植したヒトES細胞由来網膜の成熟の図

図 重度免疫不全末期網膜変性マウスに移植したヒトES細胞由来網膜の成熟

理化学研究所
多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト
副プロジェクトリーダー 万代 道子 (まんだい みちこ)