広報活動

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2018年3月14日

理化学研究所

新たなリズム時計の発見

-中枢時計より堅固な概日リズムを示す脈絡叢-

脈絡叢(CP)と視交叉上核(SCN)の概日リズムの比較の図

図 脈絡叢(CP)と視交叉上核(SCN)の概日リズムの比較

私たちの体には、約24時間周期でさまざまな体内現象のタイミングを調節している「体内時計」というメカニズムが存在します。体内時計はホルモンの分泌や代謝、睡眠リズムといった「概日リズム(1日を周期として起こる体内環境の変動)」を制御しています。概日リズムに異常が起きると、時差ボケや睡眠障害などのリズム障害を引き起こすだけでなく、がんや生活習慣病、精神疾患を引き起こす要因にもなると考えられています。

体内時計は、体中の細胞にある概日時計がオーケストラのように協調し合うことで機能します。脳の視床下部には、「視交叉上核」という約1万個の神経細胞からなる神経核があり、体中の概日時計を制御する中枢時計として、いわばオーケストラの指揮者のような役割を果たしています。

今回、理研を中心とする国際共同研究グループは、遺伝子発現をモニターできるリズムレポーターマウスの脳における概日リズムを体系的に調べることにより、脳脊髄液を産生し脳室に分泌する「脈絡叢」が中枢時計よりも堅固な概日リズムを刻むことを発見しました(図参照)。また、組織培養系や遺伝子組換えマウスを用いた実験により、脈絡叢時計は脳脊髄液の循環を介して中枢時計に作用し、概日行動リズムを制御していることを明らかにしました。

本成果は、接触した細胞をつないでイオンなどを透過させる「ギャップ結合」を制御する薬剤などにより、中枢時計を介して概日リズムを操作できる可能性を示しています。

理化学研究所
脳科学総合研究センター 精神生物学研究チーム
シニアチームリーダー 内匠 透 (たくみ とおる)