広報活動

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2018年3月15日

理化学研究所

てんかん原因遺伝子ICKの発見

-若年ミオクロニーてんかんの共通発症メカニズムを提示-

てんかんは、けいれんや体の硬直、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返し起こす特徴があり、世界全人口の0.5から1.0%が発症する頻度の高い神経疾患です。てんかんには多くの種類があり、遺伝的背景が想定されています。

若年ミオクロニーてんかん(JME)は8~20歳で発症し、起床時に頻発するミオクロニー発作や強直間代発作などを特徴とする、最も発症頻度の高いてんかんの一つです。理研の研究チームは以前、JME原因遺伝子としてタンパク質ミオクロニン1をコードする「EFHC1遺伝子」を発見しました。しかし、EFHC1の変異はJME患者の2~4%にとどまり、他のJME患者の原因遺伝子はまだ同定されていませんでした。

今回、理研を含む国際共同研究グループは、300以上の家系・患者の詳細な遺伝学的解析により、6番染色体p12領域に存在する腸管細胞キナーゼ(ICK)をコードする「ICK遺伝子」に複数の疾患変異を発見しました。また、これらの変異がICKの機能を阻害すること、Ick欠損マウスがてんかん様症状を引き起こすことから、ICKがJMEの原因遺伝子であることを突き止めました。ミオクロニン1と腸管細胞キナーゼは共に微小管の生成・制御などに関わる機能を持つことから、EFHC1ICKの遺伝子変異が微小管の異常を引き起こし、それが繊毛・神経細胞増殖/移動/細胞死の異常につながり、患者脳でみられる微小異形成(わずかな構造の乱れ、神経細胞の異常出現、浸潤など)や若年ミオクロニーてんかんの発症を引き起こしていると考えられます(図参照)。

本成果は、JMEの共通発症メカニズムを示すものであり、今後、てんかん発症メカニズムの理解、治療法の開発に大きく貢献すると期待できます。

ICK遺伝子とEFHC1遺伝子に共通する若年ミオクロニーてんかん発症メカニズムの図

図 ICK遺伝子とEFHC1遺伝子に共通する若年ミオクロニーてんかん発症メカニズム

理化学研究所
脳科学総合研究センター 神経遺伝研究チーム
チームリーダー 山川 和弘 (やまかわ かずひろ)
研究員 鈴木 俊光 (すずき としみつ)
研究員 宮本 浩行 (みやもと ひろゆき)