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2010年1月7日

理化学研究所

個人レベルの遺伝子発現メカニズムの解明に向け共同研究開始

―理研、高速全ゲノム解析技術を持つ米Complete Genomics社と協力―

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)のオミックス基盤研究領域(林崎良英領域長)と高速全ゲノム解析の独自技術を展開している米国のComplete Genomics社※1(クリフォード・レイド取締役会長)は、遺伝子発現解析手法の高度化を目標とし、ゲノム配列の差異と遺伝子発現の多様性を個人レベルで明らかにする技術を開発するため、共同研究を1月7日から開始します。

この共同研究は、遺伝子発現解析で世界をリードする理研が、独自の高速全ゲノム解析技術を持つComplete Genomics社と協力し、ヒトの複雑な遺伝子発現のメカニズムを明らかにするために次世代解析技術を開発し、その実用化を目指すプロジェクトとなります。具体的には、Complete Genomics社が数人の個人のヒト全ゲノム解析を行い、理研がCAGE (Cap Analysis of Gene Expression)※2などの遺伝子発現解析手法を用いて、個人によって異なる遺伝子情報とRNA発現に代表される遺伝子発現の複雑性を明らかにするための技術開発を行います。

今や、技術の進展により、全ゲノムを解析すること自体はそれほど難しいことではなくなってきました。今回の共同研究ではこの現状をさらに一歩進め、ゲノム配列の差異に基づく各個人の遺伝子からの転写産物(RNA)の解析(パーソナル・トランスクリプトーム)を実施することを目指しています。

さらに、本共同研究で開発した解析技術を国内外に普及させるとともに、両機関が独自に開発した技術を、それぞれの機関が受託解析サービスとして幅広く提供していくことも視野に入れて協力関係を構築していきます。

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所 オミックス基盤研究領域 LSAシステム構築グループ
プロジェクトディレクター 河合 純(かわいじゅん)
Tel: 045-503-9222 / Fax: 045-503-9216

横浜研究推進部 企画課
Tel: 045-503-9117 / Fax: 045-503-9113

報道担当

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

補足説明

  • 1.
    Complete Genomics社
    第3世代のヒト・ゲノムシーケンスを受託解析する米国企業。ヒトゲノムの解読に特化し、DNAナノボールと呼ぶDNAのアレイを形成し、ライゲーションに基づく独自の技術で、この中に含まれるDNA配列を読み取る技術を有する。解析機器の販売は行わず、受託解析のみを実施している。
  • 2.
    CAGE (Cap Analysis of Gene Expression)
    理研オミックス基盤研究領域が開発した方法で、耐熱性逆転写酵素やcap-trapper法を組み合わせて、5'末端から20塩基のタグ配列を切り出し、塩基配列を決定する実験技法。この塩基配列を読み取ってゲノム配列と照らし合わせ、どの部分がコピーされているかを調べることができる。

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