1. Home
  2. 広報活動
  3. お知らせ
  4. お知らせ 2011

2011年3月31日

独立行政法人理化学研究所
契約審査委員会

談合情報に係る調査報告書

I. はじめに

平成23年1月26日、当所神戸研究所において予定されていた3件の工事に係る入札の直前に、既に落札業者が決定しているなどの談合情報が、2月3日には、同じく神戸研究所において予定されていた設計・積算業務に係る入札の直前に落札業者が決定しているなどの談合情報が寄せられ、合計4件の入札を中止した。

当所は、談合情報対応について(平成15年通達第51号)(別紙1)の規定に則り、契約審査委員会(別紙2)が談合の事実があったかなどの調査を実施した。

更に、2月7日、神戸研究所において既に完了している工事に不正があるなどの情報が寄せられた。

これら3件の情報は、すべて神戸研究所における工事等に関するものであり、当所の関係者も重複していることから、3件の情報すべてについて、その真偽を確かめるべく契約審査委員会が調査を実施した。

この調査が完了したことから、以下のとおり報告する。

II.調査概要

1.寄せられた情報等

(1)1月26日に寄せられた情報

1)調査の対象

①幹細胞研究開発棟 1階飼育室間仕切り整備等建築工事
②幹細胞研究開発棟 5階共通機器室研究環境整備工事
③幹細胞研究開発棟 化学実験室等実験環境整備工事
(上記3件とも、平成23年1月26日(水)、神戸研究所において入札が予定されていたが、談合情報により3件の入札すべて中止とした)

2)寄せられた情報

①入札前に3件の落札業者が決定していること
②理研職員によって落札業者が振り分けられていること
③幹細胞研究開発棟本体工事の入札により余った予算を内装工事等に充てようとしていることについて、余った予算は国に返済すべきではないか

3)情報提供者

匿名

(2)2月3日に寄せられた情報

1)調査の対象

大阪大学バイオ関連多目的研究施設1階・3階研究室等改修工事 実施設計・積算業務
(平成23年2月3日(木)、神戸研究所において入札が予定されていたが、談合情報により入札を中止した)

2)寄せられた情報

①入札前に落札業者(実名入り)が決定していること
②理研職員から落札予定業者に予定価格が漏れていること
③本件入札に係る施設担当の理研職員は、積算ができないこと
④担当者に予定価格を漏らすよう指示したとする理研職員、指示され業者に予定価格を漏らしたとする理研職員、これを了解したとする理研職員が実名であげられていること
⑤貸主の大阪大学が行なう工事内容が含まれていること

3)情報提供者

匿名

(3)2月7日に寄せられた竣工した工事に不正があるとの情報

1)調査の対象

水棲動物飼育実験棟移築関連工事9件のうち3件

2)寄せられた情報

水棲動物飼育実験棟移築工事に関して

①受注した電気設備業者ではない業者が定例会議に出席していること
②既に竣工した工事業者が定例会議に出席していること
③監理技術者が1人しかいない業者が同時に2つの工事を請け負っていること
④分割発注したことが問題

3)情報提供者

匿名

(4)事情聴取時に得た情報

上記3件の事情聴取をする中で、平成22年6月、幹細胞研究開発棟本体工事の入札前に工事請負業者3社が、設計請負業者に設計協力していること、これを理研職員が指示しているなどの情報があったことが判明した。この件については、当時、この情報を受けた者が関係する理研職員に事情を聴くなどの調査を行い、情報に信憑性がないこと、技術的にも特段の問題がないと判断したものであるが、改めて当委員会として調査をした。

1)調査の対象

幹細胞研究開発棟建築工事
幹細胞研究開発棟機械設備工事
幹細胞研究開発棟電気設備工事
(工期:平成22年3月1日から平成23年2月28日(3工事とも))

2)寄せられた情報

①工事の入札前に工事請負業者3社が設計請負業者に設計協力していること
②上記設計協力を理研職員ア(実名入り)が指示していること
③そのため、機械設備関係に重大な設計上の問題が生じており、建築物として成立せず、このままでは、大規模な手直しが発生し、竣工は不可能になること

3)情報提供者

理研職員イ(施設関係管理職にメール送付)

2.当委員会における事情聴取

(1)対象者

上記4件の情報に係る入札参加予定業者、工事入札等に関係していた理研職員、施工業者、設計業者

(2)聴取内容

入札参加予定業者に対しては、

  • 入札前に落札業者が決定していたという事実があったか
  • 入札前に他社の人と何らかの打合せ、又は話合いをしたことがあったか
  • 本件入札に関して、談合に係る何らかのうわさ等を聞いたり、見たりしたことはあったか
  • あったとすれば、どのような内容の打合せ、又は話合いだったか、
  • 理研職員から、官製談合の指示があったか

などの点について、

理研職員に対しては、

  • 本件入札前に、入札に参加することが予想される業者と何らかの打合せ、又は話合いをしたことがあったか
  • あったとすれば、どのような内容の打合せ、又は話合いだったか
  • 本件入札に関して、談合に係る何らかのうわさ等を聞いたり、見たりしたことはあったか

施工業者、設計業者に対しては、

  • 寄せられた情報の事実関係

などの点について事情聴取した。

(3)聴取結果

①(II.1.の(1)及び(2)に関する情報について)入札参加予定業者すべてに事情聴取したところ、いずれの社も落札業者が決定していたということはなかった、入札前に他社と打合せや話合いをしたこともなかった、また、理研職員からの官製談合の指示もなかった、との聴取結果であった。
②(II.1.の(1)及び(2)に関する情報について)入札案件業務に関わっていた理研職員すべてに事情聴取したところ、入札に参加するであろう業者を知っていた職員は限定され、それらの職員は、入札前に業者と打合せや話合いを行なっていない、他の職員は入札参加予定業者の情報を知らなかった、また、工事の予定価格を知る職員も限定され、それらの職員は予定価格を他に漏らしたことはない、という聴取結果であった。
③(II.1.の(1)に関する情報について)幹細胞研究開発棟本体工事の入札による契約差額を適正に執行すべきという点について、本件に関わった理研職員に事情聴取を行ったところ、本体工事の入札以降、当初より予定した事業の中で年度内に執行ができなかったもののうち、今後必要な事業のための予算について、国に相談し了解を得た上で、繰越の手続きを行い、その繰越内容に沿った工事を行っているものであるとの事実を確認した。
④(II.1.の(2)に関する情報について)施設担当の職員は積算ができないとの情報については、施設担当者から事情聴取したところ、当所採用前に地方公共団体において長年、施設関係業務を行なってきており、その際に設計・積算業務に係る積算業務を行なっていたため、その経験を活かして行なった、という聴取結果であった。
⑤(II.1.の(2)に関する情報について)貸主の大阪大学が行なう工事内容が理研の入札案件に含まれているという情報については、本件に関わった理研職員に事情聴取したところ、貸主の大阪大学との契約では借主の事情による工事は借主が行なうこととされているところ、今回の工事内容は、理研が研究を行う上で必要な電気容量の増強等を行なうものであり、貸主である大阪大学が行うべき工事には含まれないという聴取結果であった。
⑥(II.1.の(3)に関する情報について)竣工した工事に不正があったという情報については、本件に関わった理研職員に事情聴取したところ、受注した電気設備業者ではない業者が定例会議に出席していたのは下請業者であったこと、既に竣工した施工業者が定例会議に出席していたのは引継ぎのためであったこと、監理技術者が1人しかいない業者が同時に2つの工事を請負っていたことについては、建設業法上、監理技術者は必要なく、主任技術者がいれば良い工事であったこと、分割発注したことについては施工期間全体の前倒しを図る目的等であったとの聴取結果であった。
⑦(II.1.の(4)に関する情報について)施工業者が設計協力していたという情報については、施工業者、設計業者に事情聴取したところ、いずれの社も設計協力をしたことはない、設計協力を依頼されたことはない、入札前に落札業者が決定していたということはなかった、入札前に他社と打合せや話合いをしたこともなかった、また、理研職員からの官製談合の指示はなかった、との聴取結果であった。情報を提供した職員イが、設計協力について断片的な事実を確認しているとのことであったので、どのような具体的事実を確認しているのか、その証拠もほしいと聴いたところ、業者等に確認した、証拠は処分した、とのことであり、更に、業者等とは何か、処分したという証拠で記憶に残っている点はないか聴いてみたが、これに対する回答はなかった。職員イが、業者等に確認した、と述べていることから、改めて、施工業者3社及び設計業者の計4社に事情聴取したところ、4社とも設計協力など一切なかった、との聴取結果であった。
⑧(II.1.の(4)に関する情報について)上記設計協力を理研職員が指示していたという情報を提供した職員イに、どのような事実を知っているのか聴いたところ、着任後すぐに、職員アから施工業者のうち1社(実名入り)を紹介された、との回答であった。更に、職員アから施工業者のうち1社を紹介されたことが、職員アが設計協力を指示していたこととどのように関係しているのか聴いたところ、回答はなかった。
改めて、職員アから事情聴取を行ったところ、職員イが実名をあげた施工業者が新年の挨拶に訪問してきたことがあり、その際に職員イを紹介したことはあったが、設計協力の指示などは一切行っていない、との聴取結果であった。
また、職員イが職員アにより紹介されたという実名のあがった施工業者(挨拶に来たと職員アがいう者)に事情聴取したところ、職員アを訪問した理由は、単なる新年の挨拶であって、設計協力の話など一切なかった、との聴取結果であった。
⑨(II.1.の(4)に関する情報について)機械設備設計に重大な問題点があるという情報については、施工業者、設計業者、理研職員に事情聴取したところ、専門的・技術的な意見の相違はあったが、当初設計どおり進めていくことになった。その後の工事においても、施設を使用する研究者の意見等を聞きながら施工業者の現場代理人、設計業者の監理者ともよく意見交換をしながら工事を進め、問題は発生していない、との聴取結果であった。

III.結論

(1)について

入札前に落札業者が決定していた、理研職員によって落札業者が振り分けられていた事実があったと認めることはできず、入札による契約差額の執行方法が不適正と認めることもできなかった。

(2)について

入札前に落札業者が決定していた、予定価格が漏れたという事実があったと認めることはできず、担当者は積算ができない、工事内容に大阪大学が行うべきものが含まれていたという事実も認めることはできなかった。

(3)について

法律を遵守し適正に進めていることが確認され、不正を認めることはできなかった。

(4)について

入札前に施工業者が設計業者に設計協力していた、談合があったという事実は認められず、機械設備工事において重大な設計上の問題があることの事実も認めることはできなかった。

IV.今後について

1月26日に入札が予定されていた工事3件、2月3日に入札が予定されていた実施設計・積算業務1件について、入札再公告を行うこととする。

以上

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所
総務部 前川 治彦
Tel:048-467-9201 / FAX:048-462-1554


別紙1

「談合情報対応について」

(平成15年10月1日通達第51号)

独立行政法人理化学研究所における建設工事等の入札に関して、談合の情報があった場合にとるべき対応について以下に定める。

なお、談合情報に関しては、契約審査員委員会(以下「委員会」という。)が対応するものとする。

具体的には、「談合情報」を受けた場合、下記のとおり処理するものとする。

  • 1.事務局
    入札に関して当研究所に寄せられた談合の情報に対応する事務局は、監査・コンプライアンス室とする。
  • 2.事務局への通報
    入札に関する談合の情報を受けた職員は、直ちに事務局に通報するものとする。
    なお、当該職員は出来る限り当該情報提供者の氏名等を確認するように務める。
  • 3.委員会への報告
    通報を受けた事務局は、別添様式-1の書面により情報内容をとりまとめ、委員会の委員長に報告するものとする。
    なお、新聞等の報道により入札談合に関する情報を把握した場合にも、同様とする。
    委員会の委員長は、必要と認めるときは、速やかに委員会を招集するものとする。
  • 4.委員会での対応策の審議
    委員会は、情報内容の信憑性を判断し、調査に値するものについて、5.(1)の対応をとることとする。
  • 5.具体的な対応

    (1) 以下の対応を、入札までの時間的余裕がないときは案件に応じて入札時間・期日を変更の上、原則として入札前に行うこととする。

    (ア) 入札参加者全員から、事情聴取を行う。

    (イ) 事情聴取の結果、明らかに談合の事実があったと認められる場合には、入札執行の延期・取り止めの措置をとるものとする。

    (ウ) 事情聴取の結果、談合の事実が確認できなかった場合には、全入札者から、「談合行為を行っていない」旨の誓約書(別添様式-2)の提出を求め、同誓約書中に「談合があった事実が後日判明した場合には入札を無効とする」旨の記載をさせる。

    (2) 契約業務担当者は、第1回の開札前に、全入札者から工事内訳書の提出を求め、談合の形跡がないかを入念にチェックする。このチェックにおいて、談合の疑いがある場合には、その事実を委員長に報告するとともに、(1)の(イ)により措置するものとする。

    (3) 当研究所に寄せられた談合情報について、委員会が調査に値しないと判断した場合は、契約担当者は、通常どおり入札を執行する。

  • 6.当研究所に寄せられた談合情報について、委員会が調査を行ったが談合の事実が確認されない場合は、契約担当者は、通常どおり入札を執行する。
  • 7.状況に応じて委員会委員長は必要な措置をとるものとする。
    附則
    この通達は、平成15年10月1日から施行する。
    附則(平成17年3月31日通達第14号)
    この通達は、平成17年4月1日から施行する。

別紙2

契約審査委員会名簿

左右にスクロールできます

委員長 古屋 輝夫 理事
委員 石川  弥 契約業務部長
犬井  進 経理部長
河野 公俊 基幹研究所 河野低温物理研究室主任研究員
堤  精史 人事部長
手島  廣 監査・コンプライアンス室長
前川 治彦 総務部長

(委員は50音順)

Top