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2013年11月22日

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人筑波大学
富士通株式会社

スーパーコンピュータ「京」でHPCチャレンジ賞クラス1、2(初)を受賞

-スパコンの高性能並列言語の実装における生産性(日本初受賞)と総合的な性能が高い評価-

理化学研究所(理研、野依良治理事長)と筑波大学(永田恭介学長)が共同開発したスーパーコンピュータ用並列言語「XcalableMP(エクスケーラブル・エム・ピー)[1]」による実装が、スーパーコンピュータ「京(けい)」[2]で測定した結果により、プログラミング言語の総合的な性能を評価する「HPCチャレンジ賞[3]クラス2」を日本で初めて受賞しました。

また、理研、筑波大学および富士通(山本正已代表取締役社長)は、「京」で測定した、スパコンの総合的な性能を評価するHPCチャレンジベンチマーク[4]の実測結果により、2013年「HPCチャレンジ賞クラス1」の4部門中3部門で第1位を獲得しました。第1位を獲得したのは、①Global HPL(大規模な連立1次方程式を解く演算速度)②EP STREAM(Triad) per system(多重負荷時のメモリアクセス速度)③Global FFT(高速フーリエ変換の総合性能)の3部門です。「京」は「HPCチャレンジ賞クラス1」を2011年より今年2013年まで3年連続第1位を獲得しています。米国デンバーで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC13」で21日(日本時間22日)に発表されました。

HPCチャレンジベンチマークは、科学技術計算で多用される計算パターンから抽出した28項目の処理性能によって、スパコンの総合的な性能を多角的に評価するベンチマークプログラムです。ベンチマーク性能値を競うクラス1とプログラミング言語の実装における生産性の高さを競うクラス2があります。

今回、日本で初めて受賞した「HPCチャレンジ賞クラス2」は、HPCアプリケーションを作成するプログラミング言語を対象としたコンテストです。本賞では、上記28項目のうち、Global HPL(大規模な連立1次方程式を解く演算速度)、Global RandomAccess(並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能)、EP STREAM(Triad) per system(多重負荷時のメモリアクセス速度)、Global FFT(高速フーリエ変換の総合性能)の4つのHPCチャレンジベンチマークの実装に対して、プログラミング言語の生産性と性能の両方を評価するものです。また、HPCチャレンジベンチマーク以外にベンチマークを最大2つまで任意に追加可能であり、追加したベンチマークを含めた実装に対する総合評価によって受賞が決定されます。

今回受賞した並列言語XcalableMPは、理研計算科学研究機構と筑波大学計算科学研究センターが共同で開発を行っているプログラミング言語です。実装を行ったベンチマークは、HPCチャレンジベンチマークと姫野ベンチマーク[5]です。これら全てのベンチマークについて「京」を用いて性能評価を行った結果、XcalableMPによる実装が非常に高い性能を発揮することを示しました。

「京」のように大規模な計算環境で動作するアプリケーションを、高生産かつ高い性能で開発できるプログラミング言語は、研究のスピードを速めることができるため、国内外の多くの研究者から待ち望まれています。本受賞はXcalableMPの持つ高生産性と高性能性の両方を実証するものであり、HPCアプリケーションの開発に対してXcalableMPが極めて有効であることを示すものです。

HPCチャレンジベンチマークの中で特に重要な①Global HPL②Global RandomAccess③EP STREAM(Triad) per system④Global FFTの4つについては、「HPCチャレンジ賞クラス1」として各部門の第1位が表彰されます。

筑波大学は、4つのベンチマークプログラムのうちGlobal FFTの高速化に大きく貢献し、その上で、理研、筑波大学、富士通は、これら4つのベンチマークプログラムの性能を「HPCチャレンジ賞クラス1」に登録しました。

2013年「HPCチャレンジ賞クラス1」4部門の上位3位は以下の通りです。

Global HPL 性能値(TFLOP/s) システム名 設置機関
1位 9,796 理研 計算科学研究機構
2位 1,534 Cray XT5 オークリッジ研
3位 1,344 Power 775 IBM
Global RandomAccess 性能値(GUPS) システム名 設置機関
1位 2,021 Power 775 IBM
2位 472 理研 計算科学研究機構
3位 117 IBM BG/P ローレンスリバモア研
EP STREAM(Triad)
per system
性能値(TB/s) システム名 設置機関
1位 3,857 理研 計算科学研究機構
2位 525 Power 775 IBM
3位 398 Cray XT5 オークリッジ研
Global FFT 性能値(TFLOP/s) システム名 設置機関
1位 206 理研 計算科学研究機構
2位 133 Power 775 IBM
3位 12 NEC SX-9 海洋研究開発機構

関連リンク

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所
計算科学研究機構 広報国際室
担当 岡田 昭彦
Tel: 078-940-5625 / Fax: 078-304-4964
aics-koho [at] riken.jp
※[at]は@に置き換えてください。

報道担当

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター 広報室
Tel: 029-853-6260 / Fax: 029-853-6260

富士通株式会社 広報IR室
Tel: 03-6252-2174

補足説明

  1. XcalableMP(エクスケーラブル・エム・ピー)

    スパコン等の大規模計算環境で動作する並列アプリケーションを簡易に開発できるプログラミング言語。XcalableMPを用いることにより、従来の方法と比較して、計算速度を保ったまま簡潔な記法で並列アプリケーションの開発が可能になる。
    XcalableMPホームページ

  2. スーパーコンピュータ「京(けい)」

    文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

  3. HPCチャレンジ賞

    HPCチャレンジベンチマークとは、科学技術計算で多用される計算パターンから抽出した28項目の処理性能によって、スパコンの総合的な性能を多角的に評価するベンチマークプログラム。そのHPCチャレンジベンチマークを基に評価するのがHPCチャレンジ賞である。HPCチャレンジ賞にはベンチマークの性能値を競うクラス1と、プログラミング言語の実装における生産性の高さを競うクラス2がある。クラス1は以下の4つの部門で構成され、それぞれシステムを構成する主要な要素(CPUの演算性能、メモリへのアクセス性能、ネットワークの通信性能)の性能が評価される。

    • Global HPL:大規模な連立1次方程式を解く演算速度
    • Global RandomAccess:並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能
    • EP STREAM(Triad) per system:多重負荷時のメモリアクセス速度
    • Global FFT:高速フーリエ変換(FFT)の総合性能

    クラス2は、HPCアプリケーションを作成するプログラミング言語に対して与えられる。クラス1で用いられる4つのベンチマークから3つ以上を選択し、それらの実装に対するプログラミング言語の生産性とベンチマーク性能の両方を評価する。また、クラス1以外のベンチマークも最大2つまで任意に選択可能であり、全てのベンチマークの実装に対する総合評価によって決定される。

  4. ベンチマーク

    コンピュータのハードウエア・ソフトウエアの動作速度を評価する基準。

  5. 姫野ベンチマーク

    非圧縮流体解析コードの性能評価を行うベンチマークプログラム。理化学研究所情報基盤センター長の姫野龍太郎博士が開発。
    HPCホームページ「姫野ベンチマーク」のページ