広報活動

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2015年5月13日

理化学研究所
高輝度光科学研究センター
大阪大学

国際学術雑誌の自由電子レーザー特集号にSACLAに関する4本の論文が一挙掲載

理化学研究所(理研)、高輝度光科学研究センター(JASRI)、大阪大学は、国際結晶学会が発行する学術雑誌『Journal of Synchrotron Radiation』の自由電子レーザー特集号の中で、X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free Electron Laser)施設[1]SACLA[2]に関する4編の論文を発表し、国内外の研究者へSACLAの最新利用成果や高度化状況を広く発信しました。

SACLAは2012年に共用を開始して以来、XFEL光源および利用実験システムの性能向上と安定運用に向けた開発や高度化が進められてきました。その結果、多くの利用成果が生まれています。今回発表した4編の論文では、現在のSACLAの状況を紹介するとともに、成果を生み出す基盤となった実験システムの開発と高度化に関する情報を国内外の研究者へ発信しています。

理研 放射光科学総合研究センターの矢橋牧名グループディレクターらは①「Overview of the SACLA facility」と題しSACLAの開発・建設のあゆみと運用の現状を概説し、最新の利用成果についてまとめています。大阪大学大学院工学研究科の山内和人教授らは②「Nanofocusing of X-ray free-electron lasers by grazing-incidence reflective optics」と題して、SACLAの多くの実験で利用されている超高精度集光ミラー[3]注)開発、およびその関連成果をまとめています。JASRI XFEL利用研究推進室の登野健介チームリーダーと理研 放射光科学総合研究センターの岩田想グループディレクター(京都大学・大学院医学研究科教授)らは③「Diverse application platform for hard X-ray diffraction in SACLA (DAPHNIS): application to serial protein crystallography using X-ray free-electron laser」と題した論文で、タンパク質の迅速構造解析のためにSACLAで開発された実験システムDAPHNIS[4]についてまとめています。JASRI・XFEL利用研究推進室の城地保昌チームリーダーらは④「Data acquisition system for X-ray free-electron laser experiments at SACLA」と題して、SACLAの実験で生み出される膨大なデータを高効率で処理するためのシステムを紹介しています。

今後もSACLAの情報を広く発信することにより、利用者の研究成果の拡大に役立つとともに、幅広い研究分野における新しい利用法の開拓につながることが期待できます。

4編の論文は『Journal of Synchrotron Radiation』第22巻3号(2015年5月)に掲載されました。

注)2012年12月17日 プレスリリース「世界最強X線レーザービームが誕生
2014年04月28日プレスリリース「X線レーザーの集光強度を100倍以上向上

論文情報

  • ① M. Yabashi, H. Tanaka, T. Ishikawa, "Overview of the SACLA facility", doi: 10.1107/S1600577515004658

  • ② K. Yamauchi, M. Yabashi, H. Ohashi, T. Koyama, T. Ishikawa, "Nanofocusing of X-ray free-electron lasers by grazing-incidence reflective optics", doi: 10.1107/S1600577515005093

  • ③ K. Tono, E. Nango, M. Sugahara, C. Song, J. Park, T. Tanaka, R. Tanaka, Y. Joti, T. Kameshima, S. Ono, T. Hatsui, E. Mizohata, M. Suzuki, T. Shimamura, Y. Tanaka, S. Iwata, M. Yabashi, "Diverse application platform for hard X-ray diffraction in SACLA (DAPHNIS): application to serial protein crystallography using X-ray free-electron laser", doi: 10.1107/S1600577515004464

  • ④ Y. Joti, T. Kameshima, M. Yamaga, T. Sugimoto, K. Okada, T. Abe, Y. Furukawa, T. Ohata, R. Tanaka, T. Hatsui, M. Yabashi, "Data acquisition system for X-ray free-electron laser experiments at SACLA", doi: 10.1107/S1600577515004506

補足説明

  1. X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray free electron laser)

    近年の加速器技術の発展によって実現したX線領域のパルスレーザー。従来の半導体や気体を発振媒体とするレーザーとは異なり、真空中を高速で移動する電子ビームを媒体とするため、原理的な波長の制限はない。

  2. SACLA

    理化学研究所と高輝度光科学研究センターが共同で建設した日本で初めてのXFEL施設。科学技術基本計画における5つの国家基幹技術の1つで、2006年度から5年間の計画で建設・整備された。2011年3月に施設が完成し、SPring-8 Angstrom Compact free electron LAserの頭文字を取ってSACLAと命名された。2011年6月に最初のX線レーザーを発振、2012年3月から供用を開始した。0.1ナノメートル以下という世界最短波長のX線レーザーを発振する能力を有する。
    詳細はX線自由電子レーザー施設 SACLAのホームページ

  3. 超高精度集光ミラー

    大阪大学で開発されたEEM(Elastic Emission Machining)法という超精密表面加工技術で作製されている。導入されているミラーの形状は設計形状から原子の大きさで20個ほどの誤差しかなく、ほぼ理論通りに損失なくX線レーザーを反射することができる。

  4. DAPHNIS

    連続フェムト秒結晶構造解析(SFX:Serial femtosecond crystallography)のための実験システム。SFXは、多数の微小結晶からのX線回折データを連続的に収集し、結晶構造を解析する手法。液体などに分散させた微小結晶を極細ノズルから噴出し、フェムト秒X線レーザーを照射して回折データを取得する。DAPHNISはDiverse application platform for hard X-ray diffraction in SACLAの略。

発表者

理化学研究所 放射光科学総合研究センター XFEL研究開発部門 ビームライン研究開発グループ
グループディレクター 矢橋 牧名 (やばし まきな)

大阪大学大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 教授 山内 和人 (やまうち かずと)

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及啓発課
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