1. Home
  2. 広報活動
  3. お知らせ
  4. お知らせ 2017

2017年11月16日

理化学研究所
株式会社ExaScaler
株式会社PEZY Computing

「Shoubu(菖蒲)system B」がスパコン省エネランキングGreen500で世界第1位を獲得

理化学研究所(理研)情報基盤センターが、株式会社ExaScaler、株式会社PEZY Computingと共同で設置した液浸冷却スーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)system B」が、2017年11月14日(日本時間)に発表された最新のスーパーコンピュータランキングの消費電力性能部門「Green500[1]」において、世界第1位を獲得しました。

理研のGreen500における第1位獲得は四回目となり、全てShoubuシステムが獲得しています。Shoubu(菖蒲) system Bは2016年4月にPEZY-SC2[2]用の新型システムボード類を利用するために、全く新しい液浸槽(system B)を設置し、演算理論性能が2ペタフロップス級となっています。

理研、ExaScaler、PEZY Computingは、菖蒲の高性能化を目指した最適化作業を計画しています。また、応用分野での利用として、脳神経シミュレーションの研究や最適化問題の研究など幅広い分野で進めていく計画です。

理研 情報基盤センター 姫野龍太郎 情報基盤センター長のコメント

今回、開発用に新たに設置したShoubu(菖蒲) system Bが、Green500のトップを獲得したことをExaScaler、PEZY Computingとともに祝いたいと思います。ちょうど時を同じくして、この新しいシステムを活用した大規模計算科学のプロジェクト「ヘテロジニアス・メニーコア計算機による大規模計算科学」に、文部科学省「次世代領域研究開発」(高性能汎用計算機高度利用事業費補助金)の交付が決まりました。これにより実際の応用分野でのソフトウェア開発が加速されることとなります。今後の発展を楽しみにしております。

ExaScaler、PEZY Computing両社の代表取締役、齊藤元章のコメント

2015年6月に理研情報基盤センター様にShoubu(菖蒲)を設置させて頂いてからの2年半で、三回のGreen500第1位を獲得して頂いておりましたが、新たに追加設置をさせて頂いた開発用のShoubu(菖蒲)system BをPEZY-SC2に最適化致しましたことで、再びGreen500第1位を獲得して頂きました。Shoubu(菖蒲)、Shoubu(菖蒲)system B共に、今後も一層の環境整備とアプリケーション開発を進め、広い範囲で研究分野への活用に努めて参ります。

液浸冷却スーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)system B」全景写真

液浸冷却スーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)system B」全景

計測方法と成果

理研とExaScaler、PEZY Computingは、今後のスーパーコンピューティングにおける2つの大きな柱であるメニーコアプロセッサと液浸冷却システムについて知見を深めるべく、2015年4月21日より共同研究契約を実施しています。これに基づき、理研情報基盤センターはExaScalerの最新の液浸冷却システム「ZettaScaler-1.6」を用いた5台の液浸槽からなる液浸冷却スーパーコンピュータ菖蒲を、2015年5月に設置しました。その後、2016年10月に48V直流給電対応などの高度化を行った「Shoubu(菖蒲)system B」を追加設置し、2017年4月にはPEZY-SC2用システムの搭載を可能としています。

今回のGreen500に向けた計測では、Green500が求めるEEHPC (Energy Efficient High Performance Computing) Power Measurement Methodology Version2.0のLevel 1で規定される方法に従って、1W当たりの消費電力性能値17.009 GFLOPS/Wを計測しました。この値が、最新のスーパーコンピュータランキングの消費電力性能部門である「Green500」において、世界第1位と認定されました。

今回の菖蒲の第1位獲得により、理研はGreen500において世界最多となる四回の世界第1位を獲得した機関となりました。日本の機関の1位獲得は八回目で、世界で最も多く第1位を獲得した国となります。

今後の期待

今回の計測実験により得られた計測結果は、今後のスーパーコンピューティング環境において特に重要となっている消費電力性能において、PEZY ComputingのメニーコアプロセッサとExaScalerの液浸冷却システムの組み合わせが大きな可能性と将来性を有していることを示しています。

理研は、ExaScaler、PEZY Computingとの共同研究契約に基づいて、更に高い消費電力性能値と演算性能値を実現するための最適化作業を計画しています。また、応用分野での利用についても、PEZYユーザ会を開催するなどの情報共有や成果発表を行うアクティビティを活発に行い、着実に裾野を広げ、幅広い分野での応用研究を進めていくための土台を整備していきます。また、2017年12月13日にもPEZYユーザ会が開催される予定です。

補足説明

  • 1.
    Green500

    Green500は、世界で最も消費電力あたりの性能が良いスーパーコンピュータ・システムを上位500位までランク付けし、評価するプロジェクト。近年のグリーン化の潮流を受けて、2007年11月からTOP500リスト内のスパコンの電力性能(速度性能値 / 消費電力)をTOP500に合わせて半年ごとに発表している。今期からはTOP500と統合されて発表されます。

  • 2.
    PEZY-SC2

    PEZY-SC2は、PEZY Computingが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム(課題名:非接触型磁界結合通信を用いた高密度実装プロセッサデバイスの開発(実証開発フェーズ)」の支援を受け、2017年4月に試作製造が開始された2,048コアのMIMD型プロセッサです。

発表者

理化学研究所 情報基盤センター
上級センター研究員 黒川 原佳(くろかわ もとよし)

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
お問い合わせフォーム

株式会社ExaScaler
取締役COO 齊藤 公章 (さいとう きみあき)
Tel: 03-5577-3835
kimiaki [at] exascaler.co.jp(※[at]は@に置き換えてください。)

株式会社PEZY Computing
マーケティング部 佐藤 路恵 (さとう みちえ)
Tel: 03-5577-3900
michie [at] pezy.co.jp(※[at]は@に置き換えてください。)

Top