| ※1 |
細胞系譜 |
| ヒトを含むほ乳類は、200種以上の細胞から構成されている。そのすべては、もとはただ1つの受精卵である。このように、発生の過程で細胞が特別な形や機能を持つようになることを細胞分化と呼ぶ。これらの細胞は、受精卵からいきなり出現するのではなく、系統的な道筋を追って、最終的に機能を持つ細胞へと系統的に分化していく。この細胞分化の系統を細胞系譜と呼ぶ。体細胞系譜と生殖細胞系譜は発生の初期にその運命を分かつ、大きな系譜である。 |
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| ※2 |
単一細胞マイクロアレイ法 |
| マイクロアレイは、ゲノム上のどの遺伝子が発現しているのかを同時に複数調べることができ、全世界の研究施設で用いられている優れた解析技術である。その一方で、非常に多数の細胞(通常、数千個から数十万個)を必要とするという短所を併せ持つ。培養細胞系など、同じような細胞からなる細胞集団であれば問題ないが、少数の、多様な細胞が複雑な構造を形成し機能している、生体内の組織や器官(特に発生過程の各組織、幹細胞生物、神経、さらには病態を示した組織)では、従来のマイクロアレイ解析では1つ1つの細胞を区別できないため、直接的な応用には限界があった。研究チームの開発した単一細胞cDNA増幅法を生かした「単一細胞マイクロアレイ法」は、この限界を克服し、1つ1つの細胞を別々に解析することを可能にすることで、ゲノムレベルでの遺伝子発現解析の適用範囲を飛躍的に拡大することに成功した。 |
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| ※3 |
遺伝子の発現 |
| ヒトを含めた多細胞生物では、ほぼすべての細胞が同じ遺伝情報(ゲノム)を保持している。私たちの生命が多様な細胞によって支えられているのは、それぞれの細胞種で働く遺伝子が異なるからである。遺伝子が働くためには、ゲノムDNAの中の特定の遺伝子をコードする部分をコピーすることにより1次的な産物である「メッセンジャーRNA(mRNA)」が作られ、さらにそのmRNAに対応するタンパク質が作られなければならない。ある遺伝子からmRNAが作られることを「遺伝子が発現する」という。「どの遺伝子が、どの程度の量、発現しているか」という「遺伝子発現パターン」は細胞の個性を知るために有用な情報である。 |
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| ※4 |
単一細胞cDNA増幅法 |
| 単一細胞レベルで遺伝子発現を解析する技術である。マウスの始原生殖細胞は胚(胎児)が数百〜数千個の細胞でできている頃に、40個程度形成される。この時期の始原生殖細胞でどの遺伝子が発現しているかを知るためには、細胞1つ1つを分離して、細胞毎に調べることが最も効果的である。しかし、細胞1つに含まれるmRNAの量は非常に少ないため、有効な解析をするためには遺伝子発現パターンを損なわずに増幅しなければならない。哺乳類生殖細胞研究チームは、単一細胞からcDNAを作り、正確に増幅する技術を開発し、単一細胞レベルで質の高い遺伝子発現解析を可能にした。 |
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| ※5 |
トランスジェニックマウス |
| 特定の遺伝子の機能や発現パターンを解析することを目的として、種々の遺伝子操作を行い、マーカー遺伝子を導入したマウス。本研究では、蛍光タンパク質がPrdm14遺伝子の発現を再現できるようにデザインしたDNAを染色体に組み込み、Prdm14遺伝子発現細胞を蛍光タンパク質で可視化することを可能にしたトランスジェニックマウスを作製した。 |
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| ※6 |
遺伝子を欠損したマウス(ノックアウトマウス) |
特定の遺伝子の機能を知る為にその遺伝子を人工的にゲノムから取り除いたマウス。ある遺伝子の機能を知るためには、その遺伝子を持たない動物(マウス)がどうなるのかを調べることが最も効率的である。そのような目的で作製された動物を遺伝子欠損(ノックアウト)マウスを呼ぶ。本研究では主に胎生期の遺伝子欠損マウス(遺伝子欠損マウス胚)を解析に用いた。
マウスやヒトは、染色体(マウスは20本、ヒトは23本)を2セット持っている。これは両親から1セットずつ受け継いだものである。Prdm14遺伝子はマウスでは第1染色体(ヒトでは第8染色体)に存在している。2本の第1染色体のうち、片方の染色体(アレルという)のPrdm14遺伝子を欠損したマウス(ヘテロマウス)では生殖細胞も正常に形成される。ヘテロマウスの雌雄を掛け合わせると4分の1の確率で両方の染色体のPrdm14遺伝子を欠損したマウス(ホモマウス;不妊)を得る。胎生期の遺伝子欠損マウスの解析には、ヘテロマウスを掛け合わせた時のホモマウス胎仔を用いた。
Prdm14遺伝子を欠損したへテロマウスは、ジーンターゲッティング法を用いて作成した。ヘテロマウスの雌雄を掛け合わせると、4分の1の確率で両方のアレルのPrdm14遺伝子を欠損した胚を得ることが出来る。妊娠マウス一匹は通常10〜16匹程度の胎仔を持つので、一回の掛け合わせで、2〜4匹のPrdm14遺伝子欠損胚を得ることが出来る。
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| ※7 |
後成的ゲノム修飾の再編成 |
| ゲノムの持つ遺伝情報は、第一義にはDNAの塩基配列(A, T, G, C)を指す。生体内のゲノムDNAは、ヒストンというタンパク質に巻きついた状態でコンパクトに折りたたまれた状態で存在している(このような構造をクロマチンと呼ぶ)。さらにこのヒストンやDNA自身が化学的修飾を受けることなどにより、遺伝子発現がさまざまに制御されている。このようなヒストンやDNAの化学的修飾を、塩基配列の1次情報に対し、後成的修飾と呼ぶ。生殖細胞は後成的ゲノム修飾を再編成することで、全能性の再獲得を行っていると考えられている。 |
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| ※8 |
免疫染色法 |
| 細胞や組織におけるタンパク質を検出するために広く用いられる手法。抗体のもつ特性を利用するため、免疫染色法と呼ばれる。検出したいタンパク質に対する抗体(1次抗体)を作成し、ホルマリンなどで固定した組織や、その切片に抗体を反応させる。すると抗体は、目的タンパク質にのみ結合する。抗体をあらかじめ蛍光色素などでラベルしておけば、タンパク質の存在するところだけが蛍光などを発するので、組織の中のどの細胞がそのタンパク質を発現しているか、あるいは細胞の中のどこにタンパク質が局在しているかを知ることができる。より広く用いられる方法としては、抗体を認識する抗体(2次抗体)を蛍光色素などでラベルして、1次抗体と反応させ、蛍光を顕微鏡などで検出する。 |
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| ※9 |
全能性と多能性 |
| 全能性とは完全な個体形成を行うことのできる能力をさす。これは事実上、受精卵のみが持つ能力である。一方で、ES細胞、EG細胞、iPS細胞は、単独で個体形成を行う能力はないが、体を構成するすべての細胞へと分化する能力をもっている。これを(分化の)多能性と呼ぶ。 |