| ※1 |
コヒーレント |
| 波の位相がそろっていること。レーザー光は単色性に優れ、指向性を持ち、干渉性が良く、エネルギー集中度が高い(高輝度性)といった性質を持つ。これらの性質をコヒーレント(位相がそろっていること)という言葉を用いると、「時間的にも空間的にもコヒーレント(位相のそろった)な光である」と表現され、1つの波長の光が、一定の方向に、規則正しく拡がらずに進む光であることを示す。 |
|
| ※2 |
水の窓 |
| 波長2.28 〜 4.36 ナノメートル (光子エネルギー: 543 eV〜 284 eV) の領域は酸素と炭素の吸収端の間の波長域であり、水とタンパク質などの生体を構成する物質との吸収係数の差が大きく、水の層を通してもタンパク質などが観測できることから「水の窓」 と呼ばれている。つまり「水の窓」領域の軟X 線顕微鏡が開発されると、生体分子を脱水することなく、生きたままの状態で観測でき、さらに、可視光より波長が短いため、原理的には光学顕微鏡よりも2桁程度高い空間分解能を実現することが可能となる。 |
|
| ※3 |
高次高調波発生 |
| 高強度の可視レーザー光を、ある種のガス(キセノン、アルゴン、ネオンなどの希ガス)に集光すると、その可視レーザー光と同じ方向に、複数の波長の短い光が発生する現象が知られている。一般に電磁波を取り扱う分野では、基本の波長の整数分の1の波長の電磁波が発生すると、これを「高調波」と呼ぶ。高強度の可視レーザー光により発生した波長の短い光は、可視レーザー光の波長の奇数分の1(例えば、1/11 や 1/13)の波長になっており、またその分母に入る数が数十以上に達する場合もあることから、「高次高調波」と呼ばれている。波長1.55マイクロメートルの励起レーザー光で4.1 ナノメートル (300 eV) の高調波を発生させた場合、その次数は 375 次となる。最近ではアト秒パルスという極短パルスのX線発生に応用されている。詳しい発生原理に関しては2007年3月23日のプレスリリースを参照。 |
|
| ※4 |
位相整合技術 |
基本波(励起レーザー)と高調波の位相速度をそろえることで、高効率な波長変換を行う技術。一般に、高調波発生媒質の屈折率は波長依存性を持つため、発生した高調波と基本波の位相速度は異なる。両者の位相速度がそろっていない場合、つまり位相不整合量(Δk = kq - qk0) が存在すると、発生する高調波の効率はコヒーレンス長(Lc = π/Δk) の周期で振動し、高効率な高調波発生を行うことができない。それに対して、位相速度をそろえて位相不整合量をゼロ (Δk〜0) に近づけると、効率よく高調波発生を行うことができるようになる。この際のコヒーレンス長さ Lcは無限大となり、媒質長さの2乗に比例して出力が増加する。
非線形結晶を用いた波長変換の場合、位相整合技術として、結晶の複屈折を利用する角度位相整合法や、温度位相整合法などが利用されている。一方、ガスを用いた高次高調波発生においては、ガス媒質の分散、励起レーザーの波面変化、媒質ガスのプラズマ分散などを用いて位相整合条件を満足させる。
|
|
| ※5 |
K 吸収端 (283 eV) |
| 原子の中の電子は電子殻(エネルギーの低い方からK、L、M ・・・殻と呼ばれる)に収まっている。その内 K 殻にある電子が吸収を始めるエネルギー(光の波長)を K 吸収端と呼ぶ。このエネルギーは原子の種類に固有であり、炭素原子の場合は 283 eV となる。 |
|
| ※6 |
理研独自の高調波の高出力化手法 |
| 励起レーザー光を長焦点(集光距離を長くする)で緩やかに高調波発生媒質(ガス)に集光する手法で高調波のビーム品質を損なうことなく高出力化を実現する方法。中性原子による位相整合技術用いて高い変換効率を実現できるという特徴を持つ。これまでにこの手法を用いて、世界最高瞬間輝度の高調波光源が開発されている。 |