2012年1月1日
フォトコンバーチブル蛍光タンパク質、mKikGR
理研No. 06267
発明者
宮脇 敦史、水野 秀昭(細胞機能探索技術開発チーム)
背景
オワンクラゲやサンゴ、イソギンチャクに由来する蛍光タンパク質を使い、生体分子をラベルし可視化する技術は広く普及しています。しかし、一般的な蛍光イメージングは、蛍光シグナルの分布の定常状態を観察できますが、その動きに関してはほとんど情報をもたらしません。この問題を解決するため、任意の時期に任意の細胞を特異的にマーキングすることができる蛍光タンパクKaedeなどが開発されています。
概要
イシサンゴの一種であるキッカサンゴから発見したタンパク質を改変することにより、単量体で機能し、紫外光照射によって吸光および蛍光特性が変化するフォトコンバーチブル蛍光タンパク質「mKikGR」を開発しました。
このタンパク質は通常は505nmに励起極大、520nmに蛍光極大を持ち、緑の蛍光を発します。しかし紫外光を照射することにより、360nmと580nmに励起極大、590nmに蛍光極大を持ち、赤の蛍光を発するようになります。
フォトコンバージョン前後の蛍光のピーク波長が十分に離れているため、同一細胞内で緑と赤の蛍光分離が可能であり、任意のタンパク質の挙動を解析する強力なツールとなります。
図:Photoconversion前後のmKikGR
利点
- 単量体のフォトコンバーチブル蛍光タンパク質であり、任意のタンパク質の挙動を局所的に解析することが可能
応用
- 生体分子の挙動を指標とした医薬品のスクリーニング
文献情報
- 1.PCT/JP2004/008790, 日本特許第4648834号、US Patent No.7960530、EP Patent No.1640455 他
- 2.Tsutsui H, et al., EMBO Rep. 2005 Mar;6(3):233-8.; Habuchi S, et al., PLoS One. 2008;3(12):e3944.
- 3.Tsutsui H, et al., Chem Biol. 2009 Nov 25;16(11):1140-7.
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