2011年6月1日
マイナス熱膨張性マンガン窒化物を用いた熱膨張制御
理研No. 06484, 07947
発明者
竹中 康司、高木 英典(高木磁性研究室)
概要
産業技術が高度に発達した現代では、材料の熱膨張を特定の値、典型的にはゼロにコントロールすることが切実に求められています。
発明者らは、様々な用途に利用可能な汎用の熱膨張抑制剤Mn3XNを開発しました。この熱膨張抑制剤は、粉末としていろいろな素材と混合することで、各種材料の熱膨張を制御できます。また組成の最適化により、複合材料だけでなく単一の物質としてゼロ膨張を示す材料も作製できます。
図:マンガン窒素化合物の巨大負熱膨張
左:Xの位置にGeやSnを注入したり、Nの一部をCで置換したりすることで熱膨張性を制御
右:代表的な負熱膨張組成の熱膨張特性
利点
- マイナス熱膨張性を自在に制御可能(従来材料の数倍に達する巨大なマイナス熱膨張)
- 等方的で温度履歴なく機能安定(セラミックでも粉末でも利用可能)
- 硬い窒化物
- 安価で環境に優しい素材(マンガン、亜鉛、銅、スズなど)
応用
- 巨大なマイナス熱膨張ゆえに、これまで難しかったアルミニウムや樹脂などの熱膨張もコントロール可能
- 上記の素材と混ぜた複合材料として、また、それ単独で構成されたセラミック材料として様々な用途で利用可能
例:半導体製造装置、精密工作機械、精密光学機器、高精度計測機器、電子機器、各種精密部品・基板、ヒートシンク、ファイバー・ブラッグ・グレーティング(FBG)の温度補償など
文献情報
- 1.特許第5099478号, 特許第5553366号, US Patent7632480
- 2.特許第5935258号
- 3.K. Takenaka and H. Takagi, Appl. Phys. Lett. 87 (2005) 261902.
知的財産情報に関するお問い合わせ
理化学研究所
お問い合わせフォーム