発明者

南出 泰亜、碇 智文、郭 蕊香、齋藤 美紀子、野竹 孝志、伊藤 弘昌（テラヘルツ光源研究チーム）

背景

テラヘルツ波の利用において、高出力・室温動作・周波数可変などの性能・機能を有するテラヘルツ波光源が強く求められています。本発明者らは、非線形光学技術を用いて「広帯域周波数可変」、「高コヒーレンシ」、「室温動作可能」な高性能テラヘルツ波技術の開発を進めています。

概要

［ピークパワー・テラヘルツ波光源］

無機非線形光学結晶にニオブ酸リチウムを用いた卓上サイズの光注入型テラヘルツパラメトリック光源の開発では、出力尖頭値（ピークパワー）がkW（キロワット）に達する高出力化に成功しました。この出力は、自由電子レーザーなど大型装置からの出力に匹敵します。

［有機非線形結晶の単結晶育成と超広帯域周波数テラヘルツ波発生］

有機非線形結晶は、高い非線形光学係数を有し、高効率に波長変換を実現できる結晶として注目されています。特に、DAST結晶、BNA結晶を用いたテラヘルツ波発生を提案し、また高品質な単結晶育成技術として、溶液育成法による手法を開発しました。開発の進んだ光波技術を利用して、周波数でサブTHzから数十THzもの広大なテラヘルツ波領域において、どの周波数にでも瞬時に切り替え発生できる光源開発を進めており、現在までに約1～30THz超広帯域発生に成功しました。

［高感度・高速時間応答・室温動作テラヘルツ波検出］

非線形光学効果を用いて、テラヘルツ波を光波に変換し、優れた感度を持つ光検出器を用いる検出方法を提案しています。極低温（4K）ボロメータを凌ぐ高感度テラヘルツ波検出を実現しています。また、非線形光学技術を用いて室温動作・高感度テラヘルツ波検出技術も開発しています。

利点

• 卓上サイズ・室温動作・高出力テラヘルツ波光源開発
• BNA結晶の高品質化、広帯域テラヘルツ波光源開発
• 高感度・室温動作テラヘルツ波検出

文献情報

• 1.特許第4609993号
• 2.特許第5240858号
• 3.特許第5660565号

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