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2012年11月1日

新規ヘテロアセン類化合物

理研No. 07752

発明者

内山 真伸、村中 厚哉、吉田 健吾、井上 悟、安池 修之、栗原 梨奈、栗田 城治(先進機能元素化学研究チーム)

背景

ヘテロアセン等の5員環を持つ縮環化合物は、有機EL用の発光材料、有機トランジスタ、有機太陽電池等への活用が期待される機能性分子として注目されています。これまで、5員環を構成するヘテロ原子として、ケイ素、リン、硫黄などの元素を導入した縮環化合物の合成法が開発されていましたが、従来の方法では、2つの5員環に含まれるヘテロ原子は同一の組み合わせに制約され、さらに導入可能なヘテロ原子の種類は、少数の所定の組み合わせのみに限定されるという課題がありました。

概要

本技術では、5員環の形成と同時に所望する原子を導入する足場となるハロゲン対を形成する反応を新たに見出し、様々なヘテロ元素の導入が可能となる一般的合成法を開発しました。

下記の例は、ジハロゲン体を共通の出発原料とした、15族および16族元素から成るチエノ[3,2-b]ヘテロール類の簡便な一般合成法を示しています。紫外(UV)吸収スペクトルで、16族元素の場合、S、Se、Teの順に長波長シフトが観測され、分子軌道計算によるHOMO-LUMOギャップの減少と良い相関を示しました。蛍光スペクトルではリンオキシド体が高い蛍光量子収率を示し、チオフェン環よりもフラン環が縮環した化合物の方がよりその値が高いことが判明しました。

新規ヘテロアセン類化合物の図

利点

本技術により、同種のヘテロ元素はもちろん、様々な組み合わせの異種のヘテロ元素が導入された縮環化合物の製造が可能であり、有機半導体材料や有機発光素子に有望な有機材料となりえます。

文献情報

  • 1.特願2010-048169

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