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2012年10月1日

生物機能分子探索テクノロジーの新規開発

理研No. 07754, 07917

発明者

和田 章、長田 裕之(化合物ライブラリー評価研究チーム)

背景

「生物機能分子探索テクノロジー」のコア技術は、人工タンパク質合成システムで駆動させる「統合型リボソームディスプレイ法」です。この技術は、1011種類を超える膨大な数のペプチドライブラリーの中から、疾病関連タンパク質・金属材料・ポリマーなどの標的分子・材料に対して特異的に結合し、特定の生物機能を制御/賦与する新規ペプチドを独自に創出することを可能とします。さらに、生物種を超えて構築したタンパク質ライブラリーを利用すれば、細胞機能を調節する生理活性化合物の標的分子の迅速な同定も可能であり、薬理効果を向上させた改良薬・副作用の少ない医薬品開発の基盤技術としても応用できます。

統合型リボソームディスプレイ法の概要図の画像

図1:統合型リボソームディスプレイ法の概要図

概要

今回、開発した「統合型リボソームディスプレイ法」では、アミノ酸の種類、配列の長さ、立体構造を自由に設計できるペプチドライブラリー・タンパク質ライブラリーの構築と利用が可能です。また、それらのライブラリーは人工タンパク質合成システムにより、約15分で発現・調整が可能であることから、機能性ペプチドの創出や化合物の標的タンパク質の同定などを短時間・低コスト・省スペースで実行することができます。

さらに、自在に改変が可能なプロトコルを独自に確立したことで、従来法に比べて極めて安定な操作性・簡便性・汎用性を賦与することに成功しています。

これらの利点を生かし、本技術のキット化による販売、ロボット化の導入によるハイスループットシステムの開発と受託業務への展開、先進医療機関・製薬企業などへの技術導出も視野に入れています。

標的タンパク質結合性ペプチド及び標的構造変化応答性ペプチドの図

図2:「標的タンパク質結合性ペプチド」および「標的構造変化応答性ペプチド」の創成

応用

  • ポスト抗体としての標的分子結合性ペプチドの高速創成
  • 生物活性化合物・創薬シーズ・既存薬の標的タンパク質の同定
  • タンパク質及び細胞機能解析用ツール・疾病診断用バイオプローブなどの開発
  • ペプチドと異種材料との融合による生体機能制御性バイオマテリアル・標的分子検出用デバイス・ナノバイオ構造基板などの作製

文献情報

  • 1.特許第5863045号、US第8697655号
  • 2.特許第6057297号、US第9863936号

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理化学研究所
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