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2012年1月1日

複数の非天然タンパク質の導入を可能にする細菌の作製方法

理研No. 07783

発明者

坂本 健作、向井 崇人(拡張遺伝暗号システム研究チーム)他

背景

非天然タンパク質生産時の非天然型アミノ酸導入においては、多くの場合ストップコドンの1つであるアンバーコドン(UAGコドン)が使用されており、非天然型アミノ酸の導入効率を上げる手段として、例えば大腸菌においては、①翻訳終結因子の活性を弱める、②大腸菌ゲノム上の全てのアンバーコドンを他のストップコドンに置換した上で、翻訳終結因子をコードする遺伝子を欠損させる等の方法が報告されています。しかし、前者では複数の非天然アミノ酸の導入効率は極めて低く、後者は大腸菌においてでさえ314個のアンバーコドンをストップコドンに持つ遺伝子の改変が必要であるため、汎用性に問題があります。

概要

大腸菌の翻訳終結因子をコードする遺伝子を欠損させ、アンバーコドンを翻訳するtRNAといくつかの遺伝子を安定的に導入する事により、通常の生育速度を保ったまま複数の非天然アミノ酸を高効率でタンパク質へ導入するための大腸菌を作製する方法を開発しました。

本方法は大腸菌に限らず如何なる細菌にも適用できるため、自由に非天然タンパク質の生産系を構築する事が可能となります。また、本方法を採用し複数の非天然アミノ酸を持つ非天然タンパク質を作製する事により、今まで得られなかった新たな機能を有する新規タンパク質の生産が可能となります。

本方法によりグルタチオン-S-トランスフェラーゼのN末端近傍に6つのアンバーコドンを導入したタンパク質を生産したところ、全ての部位に非天然型アミノ酸であるヨードチロシンを導入できました(導入部位は*)。

N末端近傍に6つのヨードチロシンを導入したタンパク質の生産の図

図:N末端近傍に6つのヨードチロシンを導入したタンパク質の生産

利点

  • 非天然タンパクに複数の非天然型アミノ酸を導入することが可能

応用

  • 非天然型アミノ酸を有する新規機能性タンパク質の製造

文献情報

  • 1.PCT/JP2011/063778
  • 2.Mukai T, et al. BBRC. 2011 Aug 12;411(4):757-61.
  • 3.Mukai T, et al. Nucleic Acids Res. 2010 Dec;38(22):8188-95.

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