2013年3月1日
ガラスキャピラリによるX線偏向技術
理研No. 07873
発明者
田中 義人、伊藤 基巳紀、澤田 桂(物質系放射光利用システム開発ユニット)
背景
放射光のような高輝度X線ビームを試料に照射する際、ビーム方向が固定されているため、試料の位置、姿勢を制御することによって、その照射方向や照射位置を制御するのが一般的です。一方、試料をその周辺環境のため動かせない場合や溶液試料のように傾けられない場合には、入射ビームの経路を制御する必要があります。そこで、ガラスキャピラリを用いて簡便にX線ビームの偏向や位置を制御する方法を模索しました。
概要
X線はガラスキャピラリ中で全反射を繰り返し伝搬します。このとき、全反射臨界角が浅いため、キャピラリの曲率が制限され、その姿勢制御や入力部の調整が容易でありません。そこで、様々な曲率をもつキャピラリ束を用いることにより照射方向を制御する方法、および、程よい堅さのハウジングを施した長いキャピラリを用いる方法を提案し、その実証を行いました。
利点
- 試料を固定したままX線照射位置を変えることができ、溶液試料の表面散乱測定などが可能
- 1つの光源からX線を分配し搬送可能
- X線の波長を選ばない(内壁で全反射する波長範囲であればよい)
応用
- 試料を固定した状態でのX線吸収率マッピング
- 複数試料の同時X線計測
- 高輝度X線パルス光の時間遅延制御
文献情報
- 1.特願2011-044376
- 2.第25回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム 9p008 (2012)
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