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2013年4月1日

ペプチドによる迅速かつ簡便な植物遺伝子導入法の開発

理研No. 07999

発明者

沼田 圭司(理研:酵素研究チーム)、吉積 毅(慶應義塾大学)、児玉 豊(宇都宮大学)

概要

オルガネラ形質転換法を特異的なペプチドおよびシリカ粒子を用いることで可能にし、葉緑体やミトコンドリアにおいてバイオ物質を効率的に生産することを目的とします。ここでは、オルガネラを問わず遺伝子を細胞内に導入する方法を紹介します。細胞膜透過配列およびポリカチオン配列を有する融合ペプチドを合成し、遺伝子との複合体を調製することに成功しました。調製した複合体を用いることで、シロイヌナズナおよびタバコの葉に対し、レポーター遺伝子を導入することに成功しています。シリカナノ粒子を用いることで、さらなる効率化およびオルガネラに対するターゲット特異性を付加することを試みており、ペプチド、遺伝子およびシリカナノ粒子から成る複合体も検討中です。

研究植物だけでなく様々な実用植物種を簡単に物質生産技術に利用できるようになれば、バイオプラスチックやバイオ燃料等のバイオ物質を二酸化炭素から生産可能な新規植物種を作出することもできます。本研究成果により、バイオ物質だけでなく、ファインケミカル、化粧品等の化成品原料、医薬用タンパク質、食料、エネルギー物質等の幅広い分野の物質生産を、植物及び二酸化炭素を活用した新しい物質生産技術で代替し、新バイオ産業及び低炭素社会の構築を同時に実現できる可能性があります。物質生産への応用だけでなく、乾燥地の緑化や汚染地域の浄化等への応用も可能です。

表1: ペプチドによる遺伝子導入法と既存技術との比較

左右にスクロールできます

技術名称 研究フェーズ 葉緑体・ミトコンドリア
選択性
遺伝子サイズ 植物への汎用性 手法としての
利便・汎用性
アグロバクテリウム法 実用化済 無し(核) 200kbp以下 小(アグロバクテリウムが感染する植物のみ) 大(特殊装置は必要ない)
パーティクルガン法 実用化済 無し(偶発的) 50kbp以下 小(特殊装置を要する)
本研究 基礎研究段階 90%以上(目標値) 200kbp以上も可能 大(ほぼ全ての植物種) 大(特殊装置は必要ない)
バイオ物質の画像

図1:Plant Factory : production of bioplastic

遺伝子導入効率の経時変化の図

利点

  • 様々な種類の植物細胞に対して高い遺伝子導入効率が得られる。
  • 特殊な装置を必要としない。
  • 特定の微生物・ウイルスを使用する必要がない。

文献情報

  • 1.PCT/JP2013/056062
  • 2.US:61/691,833
  • 3.Manoj Lakshmanan, Yutaka Kodama, Takeshi Yoshizumi, Kumar Sudesh, Keiji Numata*. Rapid and Efficient Gene Delivery into Plant Cells Using Designed Peptide Carriers. Biomacromolecules, Volume 14, Issue 1, pp10-16, 2013.

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