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2019年10月10日

10~20色マルチカラー蛍光イメージング

理研No. 08014

発明者

尾崎 裕一

上田 昌宏(細胞シグナル動態研究チーム)

背景

蛍光顕微鏡法の多色化は協同的に働く細胞内の生体分子を解析する上で極めて重要です。この目的のために様々な蛍光色素や蛍光タンパクが開発されていますが、これらを観察するための蛍光顕微鏡法としては6色程度が上限であり、4色以上の同時イメージングを実用的に行う例は極めてまれです。

概要

各蛍光色素のリファレンススペクトルを必要とせずに10~20色程度の多重蛍光染色サンプルを観察可能な新規蛍光顕微鏡法を実現します(図1)。新規ブラインドアンミキシングアルゴリズムの開発と分光を用いたスペクトルイメージングと色素の退色時系列を取得する搬影法から自家蛍光成分を含む全ての蛍光スペクトルを精度よく分離することが可能となります。6種類の異なる蛍光スペクトルと退色時定数を持つ蛍光色素を用いて6枚の異なる画像を得たと仮定して、その混合スベクトル・退色時系列を生成します。これを入力画像として本発明のアルゴリズムを適用し、元画像を復元した結果を図2に示します。本手法は特殊な設備を必要とせず、また様々な蛍光色素や蛍光タンパクを標識に利用可能であるため、多重蛍光染色を広く普及させるものと期待されます。

顕微鏡システムの図

図1:顕微鏡システム

シミュレーションの結果の図

図2:シミュレーションの結果

利点

  • 各蛍光物質の事前のリファレンススペクトルを必要とせずに、蛍光物質別の画像を分離することが可能
  • 色素の退色によるアーチファクトが生じない
  • 10色以上の同時染色が可能

応用

  • 蛍光抗体染色
  • FISH(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション)
  • マイクロアレイなどの蛍光を用いた生化学アッセイの多色化によるハイスループット化

文献情報

  • 1. 特許第5870821号

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