2020年9月9日
ヒドリド錯体による窒素固定技術
理研No. 08099
発明者
島 隆則(先進機能触媒研究グループ)
背景
窒素原子を固定しそれを利用する技術は、アンモニア製造などにおいてきわめて重要です。窒素原子の固定は、工業的には、専らハーバーボッシュ法によって行われていますが、同法は、非常に高温、高圧環境下で反応を進行させる技術であり、より緩和な環境下で窒素固定を行う技術が切望されています。そこで、比較的緩和な環境下で窒素固定をする新規なヒドリド錯体、を研究開発しました。
概要
本発明のヒドリド錯体は、図1中の式で表されます。式中、M1等は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWであり、L1等は、置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル誘導体を含む配位子等です。この錯体をそのまま、又は窒素固定化させた後、図2に示すように、アンモニア製造用の固定床として用い、例えば、小型のアンモニア製造装置に利用することも可能です。

図1:ヒドリド錯体の構造

図2:ヒドリド錯体を固定床として用いたアンモニア製造装置の一例の模式図
利点
- 比較的緩和な環境下での窒素固定
- 固定した窒素のアンモニアとしての取り出し
- 小型のアンモニア製造装置の提供
応用
- アンモニア製造用触媒
- アンモニア製造装置
文献情報
- 1.特許第6004500号
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