2015年7月6日
水晶体の老視判定装置
理研No. 08168
発明者
和田 智之(理研:光量子技術基盤開発グループ)、坪田 一男、神成 淳司(慶應義塾大学)
背景
日本の人口の約半分が40歳以上で老視(老眼)の影響が出ています。この状況の中で、老視は自覚的検査による診断で定量的評価はしていません。また、具体的な老視進行の把握が困難なため適切な治療ができず、老視の定量的評価が望まれています。老視の原因は、加齢によって水晶体が硬化して調整力が減少することからきます。従って、水晶体の弾性を測定できれば定量的な診断が可能になります。
概要
老視は、水晶体を構成するたんぱく質が変性し、弾性が失われることにより発生するといわれています。水晶体の弾性が分かれば老視の診断が可能になります。水晶体の弾性測定は、微弱なパルスレーザーを水晶体に照射し、発生する光弾性波を利用して水晶体の状態を計測しようというものです。光弾性波による水晶体の変位を光の干渉計を使用して非接触で測定し、その変位の特性から弾性値を導き、老視の診断をします。
図1: 水晶体の弾性測定ブロック図
図2: 眼球各部位における光の透過率
図3:定量的老視診断装置臨床評価装置
利点
- 水晶体の弾性状態を定量的に把握
- 水晶体の弾性状態を瞬時に把握
- 診断が非接触で可能
応用
- 老化防止薬剤の開発などへの活用
- 紫外線による水晶体の変化
- 高分子材料の弾性特性の測定
文献情報
- 1.特許第6143289号、米国特許第9254082号
- 2.Chunhui Li etc. “Noncontact all-optical measurement of corneal elasticity,” Opt. Lett. 37, 1625-1627(2012).
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