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2015年1月5日

高空間分解能X線イメージング検出器

理研No. 08312

発明者

亀島 敬(データ処理系開発チーム)

背景

SPring-8内に建設されたX線自由電子レーザー施設SACLAは高輝度・空間フルコヒーレンス・フェムト秒パルスを持つ新しいX線光源です。この光源の特徴を活かすためには単一X線フェムト秒パルスの計測技術が必要であり、高い感度・高空間分解能を併せ持つX線2次元検出器の開発は国内外で大きな研究課題となっています。

概要

本発明者は、YAGセラミックのコンポジットを利用した薄膜シンチレーターを用いることで、8μmの空間分解能・視野2.56x1.92mm2を持つ新たなX線2次元検出器を開発することに成功しました。今後、シンチレーターを更に薄膜化することで1μmを下回る高い分解能を得ることが可能です。本手法は、シンチレーターと屈折率が等しい基板を異物を介さず接合させることで、従来の薄膜シンチレーターの課題であった界面からの反射に由来する空間分解能の悪化を原理的に解決しています。また、X線を基板内でほぼ消滅させることができるので、放射線耐性の低いレンズやセンサーをシンチレーターの直後に配置して、高開口数の光学系を組むことが可能です。結果、光の回折限界を除く空間分解能の制限を解決し、従来技術を超えた高品質なX線イメージングが可能となります。

シンチレーターの構造の図

図1:シンチレーターの構造

従来法との比較の図

図2:従来法との比較

開発したX線2次元検出器の図

図3:開発したX線2次元検出器

アリのレントゲン写真の図

図4:開発した検出器で撮像したアリのレントゲン写真

利点

  • シンチレーター内部の反射光・散乱光を原理的に抑えるため、高い空間分解能とMTFを得られる。
  • 放射線耐性の低いレンズやセンサーをシンチレーターの直後に配置が可能。
  • 高開口数の光学系と組み合わせ、光の回折限界に近い空間分解能と高い感度が得られる。
  • シンチレーター部を機械・研磨加工ができるので、安定かつ低コストで薄膜化が可能(1 μm厚程度まで)。
  • mmスケールの基板の厚みを持つので機械強度が高く、装置への組み込みが容易。

応用

  • 医療機器のX 線画像計測機器(X線CTなど)
  • 細かい構造を持つ機器の観測、半導体配線の断線調査、マイクロフォーカスX線CT、空港のX 線検査など
  • X 線~UV 2 次元計測機器

文献情報

  • 1.特願2014-172299

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