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2015年8月25日

14族金属(Sn、Ge、Si)リチウム化合物の調製法

理研No. 08373

発明者

内山 真伸、王 超、王 東宇(内山元素化学研究室)

背景

14族金属リチウム化合物(14E–Li)、特に有機スズリチウム類は有機リチウム(炭素陰イオン)の類縁体として、有機合成、機能性分子創製や重合反応開始剤など、学術研究と企業研究の様々な分野に応用されています。しかしながら、既知の14E–Li 合成方法は、<1> 低収率、低選択性、<2> 低原子効率、<3> 大量有毒副生成物、<4> 保存困難などの様々な問題があり、この分野の研究と応用は大きく制限されてきました。

概要

本技術は、安価な多環芳香族炭化水素(PAH)を触媒(<5mol%)として、14E–Li 化合物の高速・簡便・定量的な合成法を開発しました(図1)。本方法は、温和な条件下、100%の変換効率で進行し、(有毒)副生成物を完全に抑えることができます。また、本手法で得られた14E–Li 化合物は常温で長期間の保存が可能です。さらに、本方法で調製した14E–Li は種々の基質と反応し、高収率にて14族有機金属化合物を与えます。代表な例として、Stille反応への応用を図2に示します。

簡便・高速・定量的14族金属リチウム化合物の新規合成法の図

図1:簡便・高速・定量的14族金属リチウム化合物の新規合成法

Stille反応に関しての応用例の図

図2:Stille反応に関しての応用例

利点

  • 3時間以内の室温反応、高収率(定量)
  • 安価な触媒、原子効率100%
  • 有毒副生成物なし、室温長期間保存可
  • 幅広い基質に高い反応性・適応性

応用

  • 多種有機合成への応用(Stille反応含む)
  • 高分子材料の合成
  • 14族金属機能性分子の合成
  • 14族金属を含む医薬品の合成

文献情報

  • 1.特願2015-044297

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