2014年12月22日
小型中性子源用の金属Beターゲット
理研No. 08004
発明者
山形 豊、広田 克也(ものづくり高度計測技術開発チーム)、朱 正明(超精密加工技術開発チーム)
背景
近年、中性子ビームを学術目的や産業利用に利用するための小型中性子源の開発が行われています。これは、小型の粒子線加速器を用いて中性子を発生させる技術で、中性子光学素子と組み合わせる事で効率的な中性紙利用が可能となります。小型中性子源を実現させるためには幾つかの要素技術が必要となりますが、中性子を発生する中性子ターゲットの開発はその中でも非常に重要な技術のひとつです。
概要
小型中性子源で使われる低エネルギーの陽子ビームや重陽子ビームは、中性子発生ターゲットである金属Be中で停止すると水素脆化により金属板を破壊してしまいます。そこで、本発明者らは荷電粒子の金属中侵入距離を正確に計算し、Be金属の下流側で陽子ビームが止まるようにBe金属箔の厚さを調整しました。また、バッキング板には水素の拡散性が高く、熱伝導率が良く、かつ中性子による放射化物の寿命が短い金属を選択することで、除熱と水素脆化の2つの問題を同時に解決し、かつ低放射化によりメンテナンス時の安全性を高めることに成功しました。
図1:中性子発生ターゲットの模式図
図2:製作したBeターゲット
利点
- 中性子発生ターゲットとして長寿命化に成功
- 低放射化を可能としたことで、メンテナンスが容易となった
- 長寿命化したことでランニングコストの削減
応用
- 小型中性子源の中性子発生ターゲットへの利用
文献情報
- 1.特許第5888760号
知的財産情報に関するお問い合わせ
理化学研究所
お問い合わせフォーム