研究紹介

仁科加速器科学研究センター (RNC)

延與 秀人 (D.Sci.)
センター長
延與 秀人
(D.Sci.)

理研に仁科芳雄研究室が開設されたのは1931年のことです。それ以来、理研には80年を超える加速器科学の伝統があります。2015年はその伝統に新たなページを開いた年になりました。大晦日に113番元素の命名権が理研の研究グループに与えられたのです。森田浩介博士を代表者とする研究グループが提案した元素名「ニホニウム」、元素記号「Nh」は、2016年11月に国際純正・応用化学連合(IUPAC)に承認されました。未来永劫、その名は周期表に残ります。日本発、アジア初の快挙です。新元素を作り出した線形加速器「RILAC(ライラック)」を初段とする加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」は、仁科加速器科学研究センター(仁科センター)のシンボルです。世界最大の超伝導リングサイクロトロンと超伝導RIビーム生成装置「BigRIPS(ビッグリップス)」を擁し、 不安定原子核ビーム(RI ビーム)の生成能力に於いて世界に冠絶する性能を発揮しています。

仁科センターの第一義の使命は、原子核とそれを構成する素粒子の実体を究め、宇宙における物質創成の謎を解明することにあります。さらには、それら素粒子、原子核を農業、医療など産業に応用する技術の開発も重要な使命になっています。総合科学研究所たる理研の特徴を生かした幅広い研究展開は、かつて仁科芳雄自身が拓いたものであり、それゆえ、仁科センターはこの偉大な先達の名を冠することとなりました。

仁科センターは「原子核・元素変換研究部門」、「RIBF研究基盤部門」、「加速器応用研究部門」「素粒子物性研究部門」の4つの部門で構成されています。「原子核・元素変換研究部門」はRIBFを駆使した物理実験を考案・実行し、原子核の理論研究と協働で究極の原子核描像を構築し宇宙における元素合成の謎を解くと共に、原子核合成・変換技術を開拓することを目標としています。「RIBF研究基盤部門」はRIBFの重イオン加速器と基盤実験施設群を開発・運用し、全世界の研究者に世界最高強度のRIビームを供給しています。「加速器応用研究部門」は当センターの加速器を使用し、農作物の新品種育種や核医薬品の開発、半導体の放射線耐性の試験などの応用研究を進めています。「素粒子物性研究部門」は米国にある理研BNL研究センターと英国にある理研RAL支所を拠点とした、陽子・中間子・ミューオンなどを用いた素粒子・原子核・物性に関する実験的研究を行うとともに、強い相互作用にかかわる理論研究を行っています。

現在、RIBFは世界の競合施設を2桁上回る強度のRIビームを生成できます。これまで数多くの不安定原子核を調べることによって、原子核の新奇な構造や隠された性質の一端が明らかになり、宇宙が重元素を生み出した過程をたどることも可能になってきました。今後、それら重元素の更に先に存在すると予言される寿命の長い「安定の島」と呼ばれる超重元素は果たして存在するのか、検証に向けた技術開発や、人工的に作り出された長寿命放射性廃棄物を無害化に近づけるための基礎研究も進めていきます。仁科芳雄以来受け継がれてきた研究の伝統とRIBFのもたらす研究の可能性を総合的に活かし、さらなる技術開発にチャレンジして施設の性能向上を図り、新たな科学・技術・イノベーションを創出します。

研究主分野

複合領域 / 総合理工 / 数物系科学 / 化学 / 工学

キーワード

  • 加速器科学
  • 原子核物理

組織

組織図PDF(453KB)