2013年6月1日
蛍光タンパク質UnaGを利用した臨床検査蛍光試薬
理研No. 08118
発明者
宮脇 敦史、熊谷 安希子(細胞機能探索技術開発チーム)
背景
ビリルビンは、溶血や肝臓機能を評価する指標として一般的な健康診断の生化学検査項目の一つであり、赤血球中のヘモグロビンが壊れてできる色素です。ビリルビン濃度を測定する従来法は煩雑であり、正確な定量が難しい上に迅速に測定できないという課題がありました。
概要
- ニホンウナギから蛍光タンパク質遺伝子(UnaG)の単離に成功し、大腸菌で作らせたUnaG(アポ蛋白質)にビリルビンを結合させることで蛍光を発することを発見しました。その現象を応用し、血清中のビリルビンの濃度を測定するキットを開発しました(下図)。UnaGとビリルビンとの結合力が非常に強く、血清(血液)試料中のアルブミン結合に関わらずビリルビンを全て検出することができます。
- 従来法のような煩雑な手法や計算は一切必要ありません。蛍光法なので検出感度を著しく向上させることができ、より少量のサンプルで測定が可能となり、従来法と比べて3桁以上の感度向上を達成しています。
- 低出生体重児への負荷を少なくしながら血清ビリルビン濃度を正確に測定することが可能なため、核黄疸の発症の発見を簡単に行うことができ、予防に繋げることができます。
- 簡単で迅速にビリルビン定量ができ、発展途上国や辺地での新生児医療をサポートできます。
期待される展開
- ビリルビンを高感度、迅速、正確に定量する検査
- 低酸素・無酸素状況における蛍光イメージング(固形がん組織内の現象の可視化)
文献情報
- 1.PCT/JP20143/055160
関連情報
- 1.2013年6月14日プレスリリース「ニホンウナギから人類初のビリルビンセンサー」
動画
知的財産情報に関するお問い合わせ
理化学研究所
お問い合わせフォーム