2017年10月31日
手の到達運動を用いた脳運動学習機能簡易評価システム
理研No. 08074
発明者
永雄 総一、本多 武尊(運動学習制御研究チーム)、石川 欽也、橋本 祐二、水澤 英洋(東京医科歯科大医学部)
背景
加齢や病気・外傷により筋肉や関節の動きが低下すると、小脳に運動学習がただちにおき、運動機能の低下を防ぎます。しかし、小脳の運動学習機能は定量化が難しく、臨床診断や治療の指標としてこれまで評価されてきませんでした。本システムによって、外来診療期間で被験者に負担をかけることなく、短時間で運動学習機能について定量評価をすることが可能になりました。
概要
被検者は電磁シャッター付のメガネをかけて、耳たぶに付けたセンサーに指をタッチし待機します。眼の前に設置されたタッチパネルの任意の部位に視標が提示されると、被検者は速やかにその視標を指でタッチします。この間、センサーからの信号で電磁シャッターが閉じ、指先と視標を視ることはできません。この動作をプリズム無し、プリズム有り、プリズム無しで計200回行います。プリズム有りの時、どの程度正確に視標にタッチできるようになるかを測定し、小脳の運動学習能力を定量化します。
図1:手の到達運動を用いた脳運動学習機能簡易評価システムの構成
図2:手の到達運動を用いた脳運動学習機能簡易評価システムの動作
図3:健康人の運動学習の例と加齢や小脳疾患による変化
利点
- 短時間(15分程度)で脳の運動学習力を定量化
- モグラたたきのような簡単な動作で誰でもできる
- わずかなスペースでセットアップ可能
- 専門的知識や技術不要
応用
- 高齢者や患者の脳の運動学習力を評価
- 検査の繰り返しが脳トレーニングとなる
- 脳損傷回復時のリハビリの指標
- 認知機能の評価への応用
文献情報
- 1.特許第6218286号
- 2.PLoS ONE doi : 10.1371/journal.pone.0119376, 2015
- 3.CLINICAL NEUROSCIENCE 35: 60-63, 2017.
- 4.CLINICAL NEUROSCIENCE 35:1046-49, 2017.
- 5.医学のあゆみ 255:955-961,2015.
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