広報活動

Print

2014年1月29日

理化学研究所

カエルの合唱の法則を発見

-音声可視化装置と数理モデルを利用ー

ポイント

  • 音声可視化装置で発声のタイミングと位置を測定
  • 観測した発声のタイミングと位置を数理モデルで解析
  • 昆虫など夜行性で音声を発する動物の行動研究への応用に期待

理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、日本全域に生息するニホンアマガエル(以下、アマガエル)の合唱には法則(パターン)があることを、音声可視化装置と数理モデルを利用して発見しました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)脳数理研究チームの合原一究基礎科学特別研究員と、京都大学情報学研究科の奥乃博教授、東京大学生産技術研究所の合原一幸教授らの共同研究グループによる成果です。

春になると、多くのアマガエルが水田で鳴き交わしているのを聞くことができます。しかし、アマガエル同士が、お互いに発声のタイミングを変化させながら、どのように影響を及ぼし合っているかは、個体ごとの発声のタイミングと位置の測定が難しいこともあって、これまで分かっていませんでした。そこで共同研究グループは、アマガエルの鳴き声に合わせてLEDが点滅する音声可視化装置「カエルホタル」(特開2010-133964、米国特許8,416,957)を独自に開発しました。この装置を40台水田に並べて点滅パターンを動画として撮影し、そのパターンを結合振動子系[1]の理論を応用した数理モデルを使い“合唱の法則”の解析を試みました()。

その結果、野外では複数のアマガエルが交互に鳴き交わす傾向があることや、個体ごとは1~3m程度離れていることを発見し、さらに数理モデルを用いて野外で観測した発声のタイミングと位置を定性的に説明しました。

今回利用した音声可視化装置と数理モデルは、日本のみならず、オーストラリア、パナマなどで他種のカエルの研究にも使っており、さらに、昆虫など、夜行性で音声を発する動物の行動研究への応用が期待できます。

本研究成果は、英国の総合科学雑誌『Scientific Reports』のオンライン版(1月27日付け)に掲載されました。

原論文情報

  • Ikkyu Aihara*, Takeshi Mizumoto, Takuma Otsuka, Hiromitsu Awano, Kohei Nagira, Hiroshi G. Okuno & Kazuyuki Aihara “Spatio-Temporal Dynamics in Collective Frog Choruses Examined by Mathematical Modeling and Field Observations.” Scientific Reports, 2014, doi.org/10.1038/srep03891

発表者

理化学研究所
脳科学総合研究センター 脳数理研究チーム
基礎科学特別研究員 合原 一究 (あいはら いっきゅう)

国立大学法人京都大学大学院情報学研究科
教授 奥乃 博 (おくの ひろし)

国立大学法人東京大学 生産技術研究所
教授 合原 一幸 (あいはら かずゆき)

お問い合わせ先

脳科学研究推進室
Tel: 048-467-9757 / Fax: 048-467-4914

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
お問い合わせフォーム

産業利用に関するお問い合わせ

理化学研究所 社会知創成事業 連携推進部
お問い合わせフォーム

このページのトップへ

補足説明

  1. 結合振動子系
    周期的に振る舞う振動子が互いに影響を及ぼし合うシステムを、結合振動子系と呼ぶ。結合振動子系の振る舞いを記述する典型的な数理的枠組みとして、蔵本由紀•京都大学名誉教授が提案した蔵本モデルがあげられる。

このページのトップへ

概念図

図 研究の概念図

カエルの発声行動を可視化する音声可視化装置「カエルホタル」を用いた野外観察を行い、多数のアマガエルが交互に鳴く同期現象を発見した。右図は、水田に設置したカエルホタルの明滅パターン。色の明るい箇所がアマガエルの発声に対応し、近くの個体同士が交互に鳴いている様子を表す。さらに、結合振動子系の理論を応用した数理モデルを使い“合唱の法則”の解析を行った。その結果、野外で観測した個体ごとの発声のタイミングと位置を定性的に説明できた。

このページのトップへ