広報活動

Print

2013年4月1日

理化学研究所

第3期中期計画開始にあたってのご挨拶

理化学研究所 理事長 野依良治

本日から理化学研究所においては、平成29年度末までの5カ年にわたる第3期中期計画が始まります。新たな中期計画に臨むにあたっては、第2期中期計画の単なる延長ではなく、社会に貢献し、国際水準で他の第一線の研究機関と伍していくべく、これまでの体制を根本的に見直しました。

理研の活動は、政府が定めた現行の第4期科学技術基本計画に呼応しながら、科学と技術とイノベーションの振興、さらに復興へとつなげなければなりません。加えて、従来からの基礎科学研究の推進のみならず、科学的、技術的、そして社会的に重要な課題を発見、同定し、さらに解決に貢献しなければなりません。特に目指すべきは、グリーンイノベーションとライフイノベーションの実現です。

この状況に対応するための理研の新計画策定のキーワードは、「総合力の発揮」です。発生・再生科学、脳科学、生命システム科学、生物資源、計算科学、放射光科学、加速器科学の研究をさらなる水準に発展させるとともに、新領域開拓の源であった基幹研究所を発展的に解消し、その機能を全所に積極的に展開するため、任期制も含め新たな主任研究員制度を発足いたしました。

グリーンイノベーションの分野では、究極の省・創エネルギー技術の研究開発を行う「創発物性科学研究」や、未踏の光を発生、制御しつつ光産業・医療・安全・安心な社会の実現するための技術を開発する「光量子工学研究」を推進します。さらには、資源・エネルギーの循環的な利活用技術の実現に向けて「環境資源科学研究」にも着手します。

ライフイノベーションへの取組み強化のためには、新たにヒトの多様性を踏まえた恒常性維持・破綻の基本原理を理解することにより、個人個人に合った医療・予防医療の実現を目指す「統合生命医科学研究」を進めます。これまでに培った研究能力を最大限に活かしながら、次世代の生命科学研究及び創薬・医療の推進に資する新しい技術基盤を構築する「ライフサイエンス技術基盤」を整備します。これらは単に分野別に研究を推進するのではなく、イノベーションを指向した協同的な組織体制を構築するものです。

ダーウィンの進化論になぞらえた言葉があります。「地球上から多くの生き物が消えていった。決して強い者、賢い者が生き残るのではない。進化を遂げ、新たな環境に適応できる者だけが、生き残ることができる」。適者生存、絶えず変化し続ける環境の中で、変異を重ねていくことこそが種存続の鍵です。変革の必要性は社会的な生き物である理研にもあてはまります。伝統的な「科学のための科学」にとどまらず「社会の中の科学、社会のための科学」の振興を目指す集団に生まれ変わった、と評価いただけるよう運営に努めてまいります。