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【構内環境の整備計画】

開かれた研究所を目指し、人にやさしい構内環境整備計画を推進します。

 理研の中枢機能を持つ、埼玉県の和光キャンパスには、約27,3万㎡に及ぶ広大な敷地の中に、大小合わせて約50棟の建物が存在します。この広大な敷地の中で、毎日数千名の職員、外来者、業務委託の方々が過ごしています。東京ドーム6個分にも及ぶこの敷地は、研究環境として最適な空間である一方、一般の方々にとっては構内で道に迷ったり、場合によっては災害時の避難に支障が出ることも想定されます。職員だけでなく、外国人や一般の方などが安全に過ごすことができ、かつ地域にやさしく開かれたキャンパスづくりを目指し、当研究所では、人々の動線に配慮しつつ、敷地の中の風景や自然を損なわないよう、長期的な視点に立ち、ランドスケープ基本計画を策定し、この基本計画での検討内容をもとに、キャンパス内に歩行者や自動車誘導用案内標識、建物名称や駐車場表示看板などのサインを設置しています。

樹木の名称で統一されたストリート名称サイン樹木の名称で統一されたストリート名称サイン

自然発光塗料を使用した案内サイン自然発光塗料を使用した案内サイン

都電の敷石を利用した遊歩道都電の敷石を利用した遊歩道


 従来からのサイン設置に加え、2010年~11年にかけ、構内約60か所に新たに様々なサインを設置し、来場者にやさしいキャンパスづくりに、更に力を入れています。
 新たに設置されたサインでは、和光キャンパスに生育する多くの樹木の名前を、ストリート名称サイン(いちょう通り、さくら通り、けやき通りなど)に取り入れ、理研の自然に親しんでもらう工夫を施しています。
 また、省エネに配慮しつつも、夜間でもサイン表示が明瞭にわかるよう、蓄光素材を用いた自然発光の塗料を使用し、環境にも心配りをした仕様を取り入れています。


 またサイン計画とは別に、和光キャンパスの敷地内では一風変わった遊歩道も歩行者を楽しませています。昭和39年の東京オリンピックの頃に東京都内の道路を走り、都民の足として活躍し、愛された「都電」。昭和47年には1路線(早稲田~三ノ輪)を除きすべて撤去されました。昭和37年から約10年かけて建設工事を行った理研ですが、その頃撤去の始まった都電の敷石の払い下げを受け、その敷石をキャンパス内の一部に敷設しています。懐かしい都電の面影を味わうことができる希少なキャンパスでもあるのです。


 ランドスケープ基本計画に基づく、構内環境整備が完成するのはしばらく先の話ですが、敷地特性や歴史を活かした、地域に親しまれる研究所づくりはこれからも続いていきます。