独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、2009年9月1日から、「産業界との融合的連携研究プログラム」の2010年度新規研究課題の募集を開始します。
産業界との融合的連携研究プログラムは、理研知的財産戦略センター(斎藤茂和センター長)が、産業界との新しい連携の試みとして2004年度から展開しているもので、企業主導のもとに研究課題の提案およびチームリーダーを受け入れて、理研内に時限的研究チームを編成するという開発側のイニシアティブを重視した研究プログラムです。
理研は、理研で創出した幅広い分野の研究成果や最先端技術を広く社会に普及し、または技術移転を行うなど、研究成果の社会還元を実現するための取り組みを行っていますが、このような技術移転を効果的に進めるためには、リレー競技の“バトンゾーン”、すなわち、理研の研究者と産業界の研究者・技術者が、一定の期間、同じ方向に全力で突き進む場が必要であると考えています。
このバトンゾーンに当たる本プログラムは、(1)企業のニーズに基づいた研究テーマの設定(2)研究計画の共同作成(3)企業からのチームリーダーの受け入れ(4)理研と企業の研究者が参加する時限付きの研究チームの編成(5)理研の研究設備などの活用、という特徴のもとに研究を実施します。
現在、これまでに採択した課題について7チームが研究を行っています。今回、新たに2010年度に開始する課題を募集します。
本プログラムは、企業のイニシアティブを重視した理研の新しい技術移転の仕組みで、参加企業にとって大きな魅力となっています。理研は今回の募集(提出締め切り:2009年12月25日(金)当日必着)に伴い、事前相談窓口※1を開設するとともに、研究人材の情報提供として研究者データベース※2を公開しています。
理研は、本プログラムを通じて、バトンゾーンというユニークな産学連携モデルを提唱し、研究の場を提供することで、産業・社会との関係の一層の強化を図り、日本の産業技術の新しい展開に貢献していきます。
産業界との融合的連携研究プログラムについて
産業界との融合的連携研究プログラムは、これまでに理研で蓄積してきた、あるいは、新たに生まれつつある研究資産を活用して、企業のニーズに適合した研究課題について、企業のイニシアティブのもと、共同研究を実施することを特徴としています。
本プログラムは、企業と理研が一体となって研究を進める「パラレルモデル」を具現化しているものです。パラレルモデルとは、公的研究機関が生み出した有望な技術や特許を、企業が実用化する「リニア(直線)モデル」に対し、研究機関と企業が基礎・応用のいずれの段階でも、共に研究開発を進める「併走」モデルで、リレーに例えるとバトンゾーンに当たります。
2009年8月末現在、以下の7チームが研究を展開しています。
- ナノ粒子測定技術研究チーム(株式会社島津製作所)
ナノ粒子を対象とした測定技術の開発研究 - 次世代移動体通信研究チーム(株式会社カオスウェア)
脳型信号処理に基づく次世代移動体通信方式の研究開発 - 有機発光材料調査研究チーム(キヤノン株式会社)
有機発光デバイスに用いる発光材料開発に関する調査研究 - 植物微生物共生機能研究チーム(株式会社前川製作所)
植物内生細菌の機能を活かした植物版プロバイオティクスの研究開発 - 人工臓器材料研究チーム(株式会社サンセイ)
血管吻合補助材料の開発 - 診断バイオチップ調査研究チーム(大日本印刷株式会社)
マイクロアレイPOCT診断システムの調査研究 - 界面ナノ構造研究チーム(東京応化工業株式会社)
微細加工プロセスに応用可能なポリマー薄膜材料の研究開発
募集内容とスケジュール
(1)応募条件
理研の研究成果を活用して、実用化・製品化を目指す課題。
(2)スケジュール
9月1日(月):事前相談受付、提案募集開始
12月25日(金):提案募集締め切り
1月~3月:採択提案可否内定、共同研究計画書作成、共同研究契約協議
4月:共同研究契約締結、研究チーム設置、研究開始
※ 本制度の詳細については、理研ホームページに掲載しています。
お問い合わせ先
独立行政法人理化学研究所 知的財産戦略センター
企画戦略チーム 田中 淑子(たなか よしこ)
高木 直美(たかぎ なおみ)
Tel: 048-462-5459 / Fax: 048-462-4718
報道担当
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
補足説明
- 1.
- 事前相談窓口
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産業界との融合的連携研究プログラムでは、制度内容などの説明や研究開発課題の設定などを含めた事前相談窓口を設置し、随時問い合わせに応じている。
問い合わせ先は、知的財産戦略センター企画戦略チーム(Tel: 048-462-5459、yugorenkei [at] riken.jp)
※[at]は@に置き換えてください。
- 2.
- 研究者データベース
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連携研究に積極的に参加を希望する理研の研究者を登録し、産業界に発信するデータベース (研究者データベース)。2009年8月現在183人の研究者を登録している。
(注)理研の各研究室、研究チームなどの研究内容については、研究紹介のページをご参照ください。
【アクセス方法】
(1)トップページ→ページ右上のサイト内検索でキーワード入力→該当研究室へ。
(2)トップページ左側メニュー「研究者の方向け」内「研究室主宰者等一覧」(50音順で掲載)→研究室紹介(研究室プロフィール、研究テーマ、主要論文、研究室HP(ある場合))を掲載。