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2018年10月12日

昭和大学
理化学研究所

マウスES細胞から機能的な唾液腺器官の再生に成功

-唾液分泌障害への応用に期待-

昭和大学(学長 小出良平)の美島健二教授(歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門)、田中準一助教(歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門)と理化学研究所(理事長 松本紘)の辻孝チームリーダー(生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム)らを中心とした共同研究グループは、マウスES細胞から唾液分泌能を有する唾液腺器官の再生に成功しました。

外分泌腺組織の1つである唾液腺は、口腔内に唾液を分泌する組織です。唾液は消化作用、抗菌作用および口腔粘膜の保護作用などを有し、口腔内環境の維持に重要な役割を果たしています。近年、唾液分泌低下による口腔乾燥症患者の増加が指摘され、症状の重篤な場合には、著しいQOL(Quality Of Life)の低下をもたらすことが懸念されています。

共同研究グループは、マウスの唾液腺発生過程の解析により、唾液腺原基の形成に重要な2つの遺伝子(Sox9, Foxc1)を同定しました。そして、これらの遺伝子をES細胞から誘導した口腔粘膜上皮に遺伝子導入することにより、三次元的な唾液腺器官の再生に成功しました。今回、ES細胞から誘導した唾液腺原基(誘導唾液腺原基)は、形態学的な特徴や遺伝子発現解析からも胎生期唾液腺原基に類似していました。また、大唾液腺の1つである耳下腺を摘出したマウスに、誘導唾液腺を同所性移植することにより、誘導唾液腺の導管と残存唾液腺の導管が接続することが確認されました。さらに、唾液分泌促進薬や味覚刺激により神経経路を介して、誘導唾液腺から口腔内へ唾液が分泌されることが確認されました。

今回得られた誘導唾液腺は、唾液腺発生メカニズムの解析はもとより、唾液腺分泌障害に対する再生医療や唾液腺疾患解析、創薬スクリーニングの有用なツールとなることが期待されます。

詳細は大学プレスセンターのホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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