マネジメント
RIKEN’s Vision on the 2030 Horizon
理化学研究所は、科学者自身が究めたいと願う研究が、人類の未来のために必要となる学知の創造と重なり、科学と社会との相互の信頼が深まることで、互いにつながっていく場であることを目指す。その実現のため、百年をかけて研究者たちに着実に受け継がれた「理研精神」を見つめなおし、以下のビジョンをここに掲げる。
1. 理研のミッション
国立研究開発法人として、その科学を国民そして人類全体の未来の創造へとつなぎ、国民と真摯に対話しながら、その価値を明確化し共有する。
- 理研が取り組む新たな知の創造が、地球の豊かさと人類の未来の発展をもたらす。
- 研究者自身が自ら極めようとする研究が、未来に必要な学知の創造と重なり響きあう。
- 科学と社会の相互の信頼を深め、互いを発展させるようにつなげていく。
- サイバーとフィジカルの融合という大きな変革において社会への貢献を果たす。
- 包摂的かつ持続可能性が求められる地球社会に適した研究を進める。
2. 研究体制の変革とその実装
研究体制の変革をためらわず、世界最先端の研究者や技術者、最前線を行く科学技術を幅広くつなげ、理研だからこそ取り組める課題を明確化し、理研だからこそできる研究を実践する。
- 先端科学、先端基盤のプラットフォーム、研究資源の有機的連携を効果的に活用する。
- 理研で取り組むべき、理研だからこそできる先端的研究課題を明確化する。
- 既存の学問領域の垣根を超えた、理研でなければできない融合を加速する体制を整備する。
- 自然科学と人文・社会科学を、その根源においてつなぐ高次の知を創造する。
3. 研究の方向性
理研の強み・実績・伝統を結びあわせ、科学を更なる高みへと先導し、新たな領域を切り拓くことで、急激に変化する現実的な諸問題に対応していく。
- 量子、AI、スーパーコンピュータ、通信、ネットワーク、次世代半導体、理論研究が一体となった新たな科学を創造する。
- 生命の理解、ヒト、個の理解からヒトからヒトへのつながり(社会性)へと進む生命科学を推進する。
- 人類が消費してきた資源・エネルギーをあらたに循環・再生させ、持続可能なかたちで活用する社会へと導く環境資源科学を構築する。
- 未踏の科学領域の開拓、物質・光・生命などの理解を根本から変えるような基礎科学を推進する。
- さまざまな分野の学知やデータと計算科学・情報科学を融合させ、現実世界とサイバー世界がつながるDX・インフォマティクス研究を推進する。
4. 研究人材育成・国際頭脳循環
日本国内はもとより、世界の卓越した研究者たちが集い、つながることで、未来を託すに足る優れた次世代の研究者・技術者が育ち、飛躍する国際頭脳循環の場として更に発展させる。
- 日本全体の研究システムにおける理研の役割を俯瞰し、安定性と流動性を両輪とした研究者のキャリアプランを構築する。
- さまざまな世代の研究者の力を最大限引き出し、支援する制度を構築する。
- 高度な研究と社会の現実とをつなぐ、新たな研究支援職を創成する。
- 国際水準に照らし、意欲のある抜きんでた研究者たちが世界中から集い、グローバルな環境において包摂性・多様性・持続性を実現する国際標準の研究環境を構築する。
5. 産業・社会連携
基礎から応用にまで拡がる科学技術の探究を軸に産業界や社会とつながり、いま走り出すべき未来の方向を定め、新しい産業を生み出すことにも貢献し、より良い新しい社会をともに作っていく。
- 知識集約型社会の産業創出へ貢献する。
- 循環型の社会をつくり上げるシステムの改善を支え、グローバルコモンズを持続させ発展させる科学技術を構築する。
- 未来志向の新しい産学連携の仕組みを再構築、活性化し、社会実装・技術移転を促進する。
- 広く社会の多様なステークホルダーとのコミュニケーションを大切にする。
6. ガバナンス・経営
研究が進むべき方向性とその推進を組織的に支える体制とを結びあわせる運営の仕組みをさらに堅実で機動的なものとし、社会と世界の要請と期待に応える。
- 研究者が求める方向性実現のため、研究系組織・本部・事業所・理研イノベーション※・理研数理等との連携を強固にする。
- 研究者の研究活動を最大化していくための業務改革を実行に移すとともに、運営の両輪である研究系職員と事務系職員の一層の一体感の醸成を促す。
- 世界有数の科学の総合研究所としてのスケールメリットを活かし、運営の効率性・安定性・計画性を増進させる。
- 全体最適の更なる高度化の実現を目指し、経営資源をより適切で効果的かつ機動的に配分する。
- 未来の科学を社会変革のエンジンとして国内・国際社会へ提供するため、国家的・社会的に重要な先端技術を集中的に研究できる体制を構築する。
- われわれの活動が世界的に広く理解されるように、国際的観点からの研究活動及び研究運営に対する評価・提言を受け、改善につなげる。
- ※2024年6月 株式会社理研鼎業から名称変更
理事長への助言と提言の仕組み
様々な視点から、日々の活動と今後の計画を見つめ、適正な研究所運営を行うよう努めています。
理研アドバイザリー・カウンシル(RAC)
国内外の著名な研究者から、国際的観点で理研の研究活動及び研究運営の評価・提言を受けます。
詳細は「理化学研究所における評価の実施について」をご覧ください。
各センターのアドバイザリー・カウンシル
各分野の著名な研究者から、各センターの活動に対する国際的観点からの評価等を受けます。
詳細は「理化学研究所における評価の実施について」をご覧ください。
文部科学大臣
文部科学大臣(研究開発に関する審議会の助言を得て)から、研究開発成果最大化の観点からの評価・指導・助言等を受けます。
詳細は「独立行政法人評価について」をご覧ください。
理研戦略会議
所内外の有識者から、国内外の研究動向を踏まえた研究活動及び研究運営、トップマネージメントの機能強化のための助言・提言を受けます。
センター長会議
役員とセンター長・事業所長が、研究所運営に係わる重要事項や重要課題について、それぞれの視点から活発に意見交換を行い、科学的統治(サイエンティフィック・ガバナンス)の徹底に役立てています。
理研科学者会議
所内で選ばれた中核研究管理職の中から指名を受けた者から構成され、理研の総合力を発揮することによる新たな研究分野の開拓や卓越した人材の獲得を行うため、以下の3つの役割を担います。
- 1.理研が取り組むべき研究の方向性、それに基づく戦略・課題の提案
- 2.「新たな研究領域の開拓」と「融合研究の推進」を目指す独創的研究提案制度における実施課題の推薦及び評価
- 3.その他、研究所を効果的に運営するために必要な事項
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