“バイオリソース” って何だろう?
今回はバイオリソース研究センターのセンター長 城石俊彦博士を訪ねました。
博士といっしょに「バイオリソース」について考えよう!

病気、食料不足、地球温暖化など、私たちを取り巻くたくさんの問題を解決するには、生命のしくみについて研究し、くわしく知る必要があります。知識と経験のある研究者が、専門の道具と特別な研究材料を使って研究を行いますが、その特別な研究材料が「バイオリソース」です。
バイオリソース研究センターでは、さまざまなバイオリソースを集め、保存しています。大切なのは、研究者が必要としているものを必要なときに届けて、研究に役立ててもらうこと。種類も数も世界最大レベルのバイオリソースを世界中の研究者に届け、多くの研究に貢献しています。私はセンター長として、また研究者として、どうしたら今よりもっと研究者が使いやすく、研究の役に立てられるのかをいつも考えています。
次の研究をしたいとき、どんな研究材料が必要かな?
- ①体を元気にしてくれる菌を入れたドリンクをつくりたい
- ②新しい薬が効くかどうか調べたい
- ③たくさん実のなる植物をつくって食料不足を解決したい
- ④病気の新しい治療法を見つけたい


答え
①微生物(乳酸菌)②マウス、細胞 ③ 植物、遺伝子 ④マウス、細胞、遺伝子

研究に使う生物はペットショップや花屋さんで買うことはできないよ。実験に使うために必要な条件を満たしていないといけないんだ。バイオリソースが研究者のもとに届くまでを見てみよう。


世界中の研究室で使われている多種多様なバイオリソース。バイオリソース研究センターの代表的なバイオリソースを紹介しよう。






成長が早く、2か月ほどでタネがとれるシロイヌナズナは、実験に都合がいい植物。すべてのDNAの並びがわかっているから、たくさんの研究者に使われているよ。



試験管やシャーレの中で増やすことができる細胞には、さまざまな種類があるよ。病気の人の細胞からつくったiPS細胞もあるんだよ。生物の体はたくさんの細胞が集まってできているから、細胞の働きを調べることは、生命のしくみを解き明かすことにつながるんだ。



遺伝子は、体をつくり、維持するための設計図のようなもの。いちばん基本的な研究材料だから、病気や薬、体の働き、進化、品種改良など、生物の研究のほとんどすべての分野で利用されているんだ。



細菌やカビなど、目に見えない小さな微生物は、地球上でもっとも種類が多く、あらゆる場所に存在している。ヒトとのかかわりも深く、みそやしょうゆ、お酒、納豆、チーズなど、多くの食品が微生物の働きでつくり出されているんだよ。




(編集・文:財部恵子/デザイン・イラスト:藤原有紀子/撮影:相澤正。/制作協力:サイテック・コミュニケーションズ)