選書アドバイザー 栗原 恵美子

栗原 恵美子
環境資源科学研究センター 合成ゲノミクス研究グループ 研究員
パラゴムノキから天然ゴムができるメカニズムを細胞生物学的に研究。中高生時代は主に推理小説を読んでいたが、ある時『ヒト細胞の老化と不死化』という本にハマったことで生物学への興味が開く。現在は科学の絵本に夢中。
コメント
難しくても、わからなくても、今の年齢でしか感じられないことがあります。違和感も大事にしながら、数多く、いろんな本に出会って欲しいです。
担当テーマ
科学道100冊 2021 つながる地球
推薦本
2021

『ちきゅうがウンチだらけにならないわけ』
- 松岡 たつひで(作)
- 福音館書店 2013年
食べる、隠れる、運ぶ、住む ウンチがつなぐ生物の環
ヒトもイヌもゾウも鳥も魚も、みんなウンチをする。なのにどうして地球はウンチだらけにならないの?そんなシンプルな疑問を出発点に、絵本作家の松岡 たつひで氏が案内してくれるのは、食物連鎖や生物多様性にまでつながる、地球のエコロジー。自然はこんなに上手く循環している。
推薦コメント
松岡 たつひでさんの絵がとても素敵です。特に良いのは最後に問題提起をしているところ。他の生き物のウンチは自然の中で循環しているのに、人間やペットのウンチは、トイレやゴミ箱に捨てられてしまいます。では捨てた後はどうなるでしょう?人間は衛生面ばかりを気にして、広い視点で見ると利己的な行動をしています。「私たちは自然に対して何ができるだろう」と考えるきっかけになる1冊です。
2021

『家は生態系─あなたは20万種の生き物と暮らしている』
- ロブ ・ダン(著)今西 康子(訳)
- 白揚社 2021年
20万種と同居中!?家は生命の宝庫だった
調べたら、家の中は生き物だらけだった!クモ、ハエ、ゴキブリにダニやカビ……。なんと20万種以上の生き物が、戦ったり助け合ったりしながら一緒に暮らしているのだ。部屋の隅のホコリも、浴室のシャワーヘッドも、生命の宝庫。最も身近な「家」を通して、人間と多様な生物との共生関係を知る。
推薦コメント
家の中の生態系に注目した本。草原、ツンドラ、間欠泉(かんけつせん)の熱湯にさえ生き物が生息するように、冷蔵庫、玄関、シャワーなど家のあらゆるところに生物が棲みついている。身近な生物多様性を活かすも壊すもあなた次第!?「壮大な世界は全てつながっているんだ」と実感できます。
2021

『セレンゲティ・ルール─生命はいかに調節されるか』
- ショーン・B. キャロル(著)高橋 洋(訳)
- 紀伊國屋書店 2017年
生態系が健康であるために自然が作ったルールがある
この50年間で、世界のライオンの総数は45万頭から3万頭に減った。分子生物学者の著者は「ある区域における、生息可能な動植物の種類や個体数を調整する自然の摂理」をセレンゲティ・ルールと名づけ、その絶妙なバランスを紐解いていく。壊れた生態系の再生プロジェクトに希望をもらう。
推薦コメント
生物の数はピラミッド型に調整されています。この本では、通常は調整されている生態系が崩れる時に、何が起きているのかを「多すぎ」「少なすぎ」「やりすぎ」というカテゴリーに分類して分析します。すると、ほとんどが人間の「やりすぎ」に起因することが分かるんです。人間の活動がどう生態系のバランスに影響してしまうかを教えてくれます。
クラシックス

『ロウソクの科学』
- ファラデー(著)三石 巌(訳)
- 角川書店 2012年
1本のロウソクに始まるファラデーの伝説の講演
炎、大気、水、物質。たった一本のロウソクに宇宙の法則がすべてある。19世紀イギリスの大科学者ファラデーが、ロウソクの実験を通して子どもたちに伝える科学と自然と人間との深い関わり。少年少女の心で耳を澄ませたい、クリスマスの夜の特別講演。