選書アドバイザー 関 原明

関 原明
環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム チームリーダー
植物が環境ストレス変化にどう適応するか、環境ストレスに強い植物の創出技術開発などの研究を行う。2014年から7年連続でクラリベイト・アナリティクス社(旧トムソン・ロイター社)のHighly Cited Researchersに選出。高校時代から地球環境問題に興味があった。
コメント
地球温暖化などの気候変動問題は、世界中の人々の安全を脅かす問題であり、人類がどのように取り組むかがますます重要になっています。本を通して地球規模の課題にも関心を持っていただきたいです。
担当テーマ
科学道100冊 2021 つながる地球
推薦本
2021

『世界からバナナがなくなるまえに─食糧危機に立ち向かう科学者たち』
- ロブ・ダン(著)高橋 洋(訳)
- 青土社 2017年
バナナ、米、小麦、砂糖…農作物をめぐる危険な事情
効率的に作物を収穫するには、画一化するのがいい。みんな大好きなバナナやチョコレートでも、小麦やトウモロコシでも同じこと。でもそれは、病原菌や虫の被害で全滅するリスクを増やすことになる。行きすぎたアグリビジネス(農業に関連する経済活動)がもたらす危機と、そこに立ち向かう科学者たちを追う。
推薦コメント
私は、乾燥・高温などの環境ストレス下でも安定的に生産できる植物の開発を目指して、研究を進めています。この本では、米や小麦などの主要作物が、病原菌・害虫や気候変動によって、なくなってしまう可能性を伝えています。食料危機に備えるために、私たちは何をすべきかを考えさせてくれる良書です。
2021

『セレンゲティ・ルール─生命はいかに調節されるか』
- ショーン・B. キャロル(著)高橋 洋(訳)
- 紀伊國屋書店 2017年
生態系が健康であるために 自然が作ったルールがある
この50年間で、世界のライオンの総数は45万頭から3万頭に減った。分子生物学者の著者は「ある区域における、生息可能な動植物の種類や個体数を調整する自然の摂理」をセレンゲティ・ルールと名づけ、その絶妙なバランスを紐解いていく。壊れた生態系の再生プロジェクトに希望をもらう。
推薦コメント
ヌーなどの大型哺乳類が多数生息する「セレンゲティ国立公園」における生態系の調節について論じた良書です。生命がいかに調節されているかを、生物学や医学の発展に多大な貢献をした人物の科学的発見に至るエピソードを紹介しながら、わかりやすく解説しています。