選書アドバイザー 園田 翔

園田 翔
革新知能統合研究センター 汎用基盤技術研究グループ 深層学習理論チーム 研究員
数学を使ってディープラーニングの基礎理論を研究している。小学生の頃、友人の影響で宇宙の本を読み始め、理解するために数学に行き着いた。ナツメ社の図解雑学シリーズもよく読んでいた。
コメント
本を通じて誰かと話が盛り上がり、仲良くなることも多いです。分野にとらわれず広く本に触れて、ぜひそれを人と共有してみてください。
担当テーマ
科学道100冊 2021 未来エンジニアリング
推薦本
2021

『いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、3Dプリンターで臓器が作れるんだい!?─気になる最先端テクノロジー10のゆくえ』
- ケリー・ウィーナースミス、ザック・ウィーナースミス(著)中川 泉(訳)
- 化学同人 2020年
宇宙、人体、モノが変わる!?今日にも実現しそうな10の技術
飲みすぎても肝臓を取り換えればOK?エレベーターに乗って宇宙旅行?建設ロボットで住宅問題ゼロ?現役研究者と1コマ漫画家がタッグを組んで、世界を変えるかもしれない10の科学技術の今を徹底取材した。「実際どうなの?」がわかる近未来予測本。
推薦コメント
未来予測は外れて当たり前というスタンスで書かれているのが面白いです。研究をしていると、予測するということに対しては懐疑的になるので、このくらいカジュアルに技術の発展可能性を紹介してくれる方が安心して読めます。分野も宇宙エレベーターからバイオプリンティングまで幅広くカバーしているので、興味を広げるにも最適な本です。
2021

『Dr.STONE』
- 稲垣 理一郎(原作)Boichi(作画)
- 集英社 2017年
ゼロから文明を作り出す!科学少年と仲間達の熱き挑戦
集めまくって、試し続けろ。科学とは未知のルールを探す「クッソ地道な努力」のことだ!文明が失われた3700年後の世界に目覚めた高校生・千空が、仲間とともに大自然と石化の謎に真っ向勝負し、未来をこじあけていくサバイバルSF漫画。ラーメン、コーラ、鉄づくり、真似して実験したくなる。
推薦コメント
ゼロから文明を作ろうとする、スケールの大きなSFサバイバル冒険譚です。僕たち研究者も、これまでに無い理論をゼロから自分たちでつくることがあるので、「必要なものが無ければつくればいい」という不屈の精神に共感します。研究の根本にある大切なことを、改めて気づかせてくれます。
2021

『レンブラントの身震い』
- マーカス・デュ・ソートイ(著)冨永 星(訳)
- 新潮社 2020年
アルゴリズムの進化でAIは芸術家や数学者になるのか?
2016年にお披露目されたレンブラントの新作絵画。AIが18ヶ月間データを食らい、500時間かけて描いた作品だ。深層学習によりアートや音楽、数学などでも創造性を発揮しだしたAI。危機感をもった数学者が、研究の最前線を探訪する。AI進化の鍵を握るアルゴリズムのいろはがわかる1冊。
推薦コメント
AIは本格的に創造性を発揮できるようになってきました。著者は数学者ですが、数学の研究もAIに取って代わられるようになるのではないかと危機感を覚え、AIと人間の創造性についての探究を綴った本です。AIの部品となる技術には実は100年以上の歴史があります。そこにしっかりと踏み込みながら、現代のAI開発者にもたくさん取材をして書かれているので、AIの研究者としても読み応えを感じました。
2021

『科学史ひらめき図鑑─世界を変えた科学者70人のブレイクスルー』
- 株式会社スペースタイム(著)杉山 滋郎(監)
- ナツメ社 2019年
未来を切り拓くためのひらめきのエンジニアリング
70もの歴史的な発見・発明の奥にあるひらめきの方法を紐解いて図解。グーテンベルクは「既存の方法を組み合わせる」ことで活版印刷を発明。ガリレオは「わかりやすいものに置き換える」ことで落体の法則を発見した。4ページ1テーマで読みやすく、どこを開いてもヒントがいっぱい!
推薦コメント
過去の科学技術イノベーションが起きた背景を丹念に調べ、科学者たちの「ひらめきの技」をリストアップ&図解した、ユニークな本。ピタゴラスから山中 伸弥 先生まで、分野も時代も幅広い。人生で困ることがあっても、これだけ技があれば突破できるはず!
2021

『昭和ちびっこ未来画報─ぼくらの21世紀』
- 初見 健一(著)
- 青幻舎 2012年
海中都市、母親ロボット、電子脳 昭和の子どもが夢見た21世紀
人間ロケットで野球場までひとっ飛び!人工太陽で夜のない世界!海底農場で食料不足も怖くない!1950~70年代に人気を博した劇画タッチの未来予想図。思わず吹き出すものもあれば、病原菌と対決するマイクロロボット、電子脳、月面都市など今まさにホットなものも。未来を想像する楽しさが伝染する1冊。
推薦コメント
レトロでダサかっこいい未来が描かれていて、単純に見ていて楽しい本です。僕はAIを専門にしていますが、研究をしていると、未来は予測できないということがよく分かります。この本では、昭和当時の未来予測がどれだけ外れているかという観点から見るのも面白いかもしれません。どんな大胆な未来を描いても、現実は予想を上回っていくことが多い。ぜひそれを実感してもらいたいです。