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選書アドバイザー 田中 拓男

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田中 拓男
開拓研究本部 田中メタマテリアル研究室 主任研究員

専門はナノフォトニクス、光応用計測。学生時代に3次元的な微細構造を観察できる新型顕微鏡の研究をスタート。その後同じ原理を使って、物を観るのではなく光で立体構造を加工する装置や、デジタルデータを3次元的に記録する大容量光メモリを研究した。現在は光の波長より細かな構造を使った人工物質「メタマテリアル」を作り、光を自由自在に操る技術を研究している。

10代の若者へのメッセージ

料理、掃除、洗濯など家事のお手伝い。これらの中にはあらゆるサイエンス、しかも教科書では学べない大切なものが含まれています。

科学と読書

Q. あなたにとっての「科学道の本」は?
A. 『COSMOS』(カール・セーガン)
小学生の頃はじめて読んだ科学の一般書は、故カール・セーガン博士の『COSMOS』でした。この本は、単に星々の事だけが書いてあるのではありません。自然淘汰や様々な物理法則発見のストーリーがわかりやすく書かれていて、子どもながらに感動の連続でした。研究者になる直接的なきっかけではないにせよ、大きな影響を受けたことは間違いありません。
Q. 無人島に1冊持っていくなら?
A. 『キヨミの挑戦―ハーバード・ビジネス・スクール奮闘記』(斎藤 聖美)
斎藤 聖美さんが会社を辞めて単身渡米し、ハーバード・ビジネス・スクールに入学した経験を綴った体験記です。この本を読むとなぜか元気になって、また何かに挑戦してみようという気になります。無人島でのサバイバルで、メンタルを維持するために絶好の本かもしれません。
Q. どんな科学者にも会えるとしたら、誰に会いたいですか?
A. 未来の科学者
未来の科学者に会って、私の研究成果(これから出てくる成果かもしれません)が、何かの役に立っているか聞いてみたいです。

担当テーマ

科学道100冊 2022 光を追いかけて

推薦本

2022

鏡の中の物理学の画像

『鏡の中の物理学』

  • 朝永 振一郎(著)
  • 講談社 1976年

量子の世界のロジックとは?朝永 振一郎による物理学入門

鏡の中の世界と現実世界はどう違う?ノーベル物理学賞受賞者・朝永 振一郎による物理の名篇3本を収録。「光子の裁判」は、光子(光の粒子)を被告人に見立てた法廷劇を通じて、量子力学の二重スリット実験の不思議を描いた名作。

推薦コメント

光の量子的側面、すなわち「光子」の振る舞いを、ノーベル物理学賞を受賞した研究者が平易な語り口調の文章で、わかりやすく解説した名著。第3章「光子の裁判」だけでも読む価値ありです。


2022

「電波と光」のことが一冊でまるごとわかるの画像

『「電波と光」のことが一冊でまるごとわかる』

  • 井上 伸雄(著)
  • ベレ出版 2018年

電波と光は電磁波ファミリー 基礎から最先端まで一挙に紹介

電波も光も、電磁波の一種だ。テレビ、Wi-Fi、気象レーダーなど、我々の生活を支える「電波」から、光通信、半導体レーザー、量子コンピュータなど、「光」の最新技術まで。電磁波の基礎から、来る光工学の時代まで、一挙に駆け抜ける入門書。

推薦コメント

テレビ・ラジオ・携帯電話の電波も、目に見える光も、レントゲンのX線も、すべて同じ電磁波だと知ってますか?空が青くて夕焼けが赤い訳を知ってますか?電波や光の正体と、それらが関係するさまざまな現象の仕組みが1冊にまとまっています。書名に偽りなしです。


2022

眼の誕生─カンブリア紀大進化の謎を解くの画像

『眼の誕生─カンブリア紀大進化の謎を解く』

  • アンドリュー・パーカー(著)渡辺 政隆、今西 康子(訳)
  • 草思社 2006年

カンブリア紀の進化の大爆発 その謎を徹底的に追跡する

5億4300万年前から500万年間のカンブリア紀に、わずか4つだった動物門が突如として38もの動物門に進化した。この進化のビッグバンはなぜ起きたのか?古生物の生態と太陽光線との関係を明らかにしつつ、「眼」の誕生こそが、カンブリア紀の進化の鍵であることを解き明かす。

推薦コメント

「眼」という生物が持つ超高性能光学パーツがどうやって生まれたのか。そして眼の誕生が生物の進化にどういう影響を与えたか。生物の急激な進化が起きた「カンブリア爆発」の謎を解明する一説として、興味深い内容です。

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